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タキシード
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夜の正礼装・燕尾服の裾をジャケットレングスにばっさり切り落としてしまったようなシルエットをしているのが、夜の準礼装タキシードです。燕尾服を着用しなければならない式典・行事が減っており、現代的な礼服・社交服として世界的な認知を背景に多くの人たちに愛用されるようになりました。
夜の礼服・フォーマルスーツの特徴として、燕尾服と同じようにジャケット衿の表に拝絹が付けられ、衿型はショールカラー(へちま衿)もしくはピークドラペル(剣衿)、前合わせにはシングル・ダブルの両方が使われます。このタキシード・燕尾服に特徴的な衿表の拝絹は、まだ電気もなく照明のほの暗い中でもその反射で相手の顔が見やすいように付けられたといわれているもので、この拝絹のあるものは弔事には使用せず、拝絹のないモーニングコート、ブラックスーツは慶弔両方に使われます。黒の蝶ネクタイ、ジャケットと共生地で作られるトラウザースの脇縫いには側章という飾りテープが付けられ、中衣にはウエストコートもしくはカマーバンドがを合わせるのですが、黒の蝶タイがタキシードの必須アイテムであることから、式典などの招待状にブラックタイ(=黒の蝶ネクタイ)とあれば、その式典のドレスコードはタキシードとなり、ホワイトタイ(=白の蝶ネクタイ)とあれば、夜の正礼装・燕尾服を着用して出かけることになります。ホワイトタイ、ブラックタイともにそれぞれ夜に着用するフォーマルスーツを意味するドレスコードだと覚えておくと、わかりやすいのではないかと思いますよ。。
タキシード用の小物類の代表としてあげられる”立衿のシャツ(ウイングカラー)”はアメリカでは”タキシードシャツ”と呼ばれており1980年代の登場以来大流行、衿型で相性の良いショールカラーとの組み合わせでよく着用されています。一方ピークドラペルのタキシードには、こちらもフォーマルなシャツとして相性の良いレギュラーカラーシャツをよく合わせます。また、このタキシードシャツにはスタッドボタン、カフスボタンを付けるのが正式で、フォーマルウエアでは基本的には使用しないベルトの代わりに使用するサスペンダーも、ネクタイの色に合わせてタキシードでは黒、燕尾服では白、モーニングコートでは白黒のストライプのものが理想的です。
このタキシードは1886年にアメリカ・ニューヨーク州のオレンジ・カウンティにある「タキシード・パーク」で行われた、アメリカのタバコ王・ピエール・ロリラード4世が主催した第1回「タキシード・クラブ」(上流階級の社交会)で、息子のグリズウォールド・ロリラード氏が、燕尾服の裾をバッサリと切り落とした真っ赤なジャケットに、側章の付いた黒いパンツを合わせて出席したことが大きな話題となり、1890年代にニューヨークを中心に流行したのが始まりとされています。膝丈のフロックコートの前裾をカッタウェイしたり、燕尾服の裾を切り落としたり、時代はフォーマルスーツ・礼服もすこしずつ簡略化される方向にむかっているようですね。。 |
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