背広の肩線・ショルダーラインのいろいろ

ショルダー・ラインとは
肩線、なかでも背広ジャケットのそれを総称する。
肩線は背広全体のシルエットを決定付ける大切な要素である。
多くのモデル(型)は肩線を見れば、容易に想像がつくともいえる。
ナチュラル&ナロー・ショルダー・ラインはトラディショナル型を、コンケーブ・ショルダーラインはヨーロッパ型の背広をそれぞれ代表している。
ナチュラル・ショルダー
「自然型」と呼ばれるほど、パッドもあまり使われない、誇張のない感じのもの。
トラディショナルショルダーモデルといわれるくらいに、この肩線を特徴としている。近頃ではアンスーツの影響もあり、なおいっそう自然な感じが強調されている。
ナロー・ショルダー
「狭い肩」の意で、このスタイルを特徴とするアイビーモデルの背広の代名詞とされているもの。
ナロー&ナチュラルショルダーという言い方もある。
ドロップ・ショルダー
全体に丸みがあり、肩先が落ちた感じのもの。
以前コンチネンタルモデルの背広によく見られた肩線である。
ビルトアップ・ショルダー
詰め物として、袖山を高く盛り上げた肩線のこと。
”ロープドショルダー”とも呼ばれる。
ロープド・ショルダー
肩先にロープ(縄)が入っているような感じに見える、また、そうしたつくりになった肩線のこと。
肩先が盛り上がっているのが特徴。ヨーロピアン、特にイタリアのジャケットによく見られた。ビルトアップショルダーと同じ。
ウイング・ショルダー
肩先にちょうど翼(ウイング)のような張り出しのついた肩デザイン。
肩を強調するファッション傾向から生まれたファンシーディテールのひとつで、ジャケットやブルゾンによく用いられる。
コンケーブド・ショルダー
全体に湾曲し、袖山で盛り上がったもの。
ヨーロピアン調の背広に見られる。コンケーブとは「凹型の、中くぼの、くぼんだ」の意味である。
スクエア・ショルダー
角張って先端がやや持ち上がって見えるもの。
ソフト・ビッグ・ショルダー
流行のビッグショルダー(大きな作りの肩)を、ただワイルドだけではなく、ソフトなイメージに仕上げたもの。
いわばビッグショルダーの修正版といえる流行肩。
パッデッド・ショルダー
ナチュラルショルダーとは正反対にパッドを厚く入れて、広く高く張らせた肩線のことをいう。
ソフト・ショルダー・モデル
アメリカントラディショナル型の背広の肩線の新しい呼び方で、ナチュラルショルダーのこと。
ヨーロピアン調の影響などから、トラディショナル型の背広も衿幅が広く、全体にシェープドされているが、それに合わせた肩線のことをいう。現代のトラディショナルモデルの主流となっている。
テーラード・ショルダー
テーラードは「男もの仕立ての」を意味する言葉。
したがってさまざまな背広の肩線を総称して用いる。
日本では注文服に見られるような肩先が美しく張り、微妙なカーブを描いた肩線のこともこう呼んでいる。

オーダースーツ Pitty Savile Row
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