- Home
- オーダージャケット, ジャケットのシルエット
- トラッド・スーツといえばアイビールック・スーツ
トラッド・スーツといえばアイビールック・スーツ
トラッドスーツの種類
トラッド(トラディショナル)なスタイルを背景とするスーツにはいくつかの種類がありますが、
主にはアメリカ東部の伝統的なメンズスタイルをいうことが多く、
アメリカン・トラディショナル(アメ・トラ)と呼ばれています。
本来の伝統的という意味でいえば、ツイード素材で作るノーフォーク・ジャケットや、
ドレッシーなダーク・スーツ・スタイルなどを原点とする、
ブリティッシュ・トラディショナルのほうが、よりトラッド・スーツらしいと
思うのですが、「トラッドの横取り」というか「言ったもの勝ち」というところでしょうか。
また、このトラッド・スタイルといわれるファッション形式の中には、
日本独自のスタイルとして流行したハマトラ(ヨコハマ・トラディショナル)も含まれ、
アイビー・ルックに花を添えています。アイビーがもともとプレッピーな
米国東部の名門8大学の学生に好まれたファッションから始まっているため、
トラッドは上質なイメージとよくなじみます。
アイビー・リーグ・モデルの原型、アメリカン・トラディショナル
このアメリカン・トラディショナルは、アメリカ型背広の典型として、アイビー・リーグ・モデルの
原型となるもので、ほぼ同様のシルエットとなりますが、シングル3釦段返り+センターベントを
特徴としています。広い意味では1951年、石津謙介氏が「ヴァンヂャケット」を設立し、1956年提唱
したアイビー・ルックも含め、少しずつ細かなディテールの部分で差はあるものの、トラッド・スーツ、
アイビー・スーツと呼ばれるものは、全てアメリカン・トラディショナルの影響を持つものと考えられます。
アイビー・リーグ・モデルとは
アイビー・リーグとはアメリカ東部の有名8大学(エール、ブラウン、コロンビア、コーネル、ダートマス、ハーバード、ペンシルベニア、プリンストン)
で結成されているアメリカンフットボールリーグのことで、これらの大学の学生や、卒業生はアイビーリーガーと呼ばれ、アメリカ社会のエリートを占めている。
本来は、アイビーリーガーたちが好んで着ていた背広型であったが、1955年IACDが流行スタイルとして発表した当時から、アメリカで大流行した背広型のひとつとなりました。
日本では、1960年代、東京のみゆき通りに集まった若者「みゆき族」の間に、アイビー・ルックが流行し、「アイビー族」まで結成されました。
アイビー・リーグ・モデルの特徴は、肩線がナチュラルショルダー、シルエットが前ダーツのないボックスシルエット(ずん胴型)、ボタン間隔の広い3釦上2個掛け、ラペル巾は狭く、
全体に5ミリ位のステッチがかけられている。スラックスは前プリーツなしのパイプドステム型、ターンナップがつき、後ろにバックストラップが付いている場合もある。
全体に細長くストレートなシルエットが特徴。
ナンバー・ワンサックスーツ|I 型(いちがた)スーツ
仕立て屋さんの裁断の教科書に出てきそうな「I 型(いちがた)」スーツですが、このシルエットの
スーツこそが、いま多くの方がトラッドスーツとして頭に浮かぶスーツの形なのではないかと思います。
サックスーツのサックとは、「袋」の意味で、袋のようにゆったりした→寸胴・ボックス型のシルエット。
実は、このI 型(いちがた)スーツは、アメリカン・トラッドで有名なBrooks Brothers(ブルックス・ブラザース)
が、1954年、自社ブランドのトラディショナルモデルに付けた名前になります。
シルエットはアイビー・リーグ・モデルに近いものですが、フロント釦が3釦上2掛に対してI 型(いちがた)スーツは
3釦段返り、胸ポケットがアウトポケットに対して、箱ポケット(ウエルト・ポケット)、フックベントに対して
センターベントが異なるところです。
また、アメリカン・トラッドでブルックス・ブラザースと双璧となるJ・プレスのベントはフックベント、
日本の「VAN」は、3釦段返り+フックベント。
オーダーでお仕立ていただく場合には、よりトラッドの雰囲気を色濃く、特徴的な3釦段返り、ベントはフックベント、
お仕事用には、箱ポケットなど、いろいろなディテールを組み合わせてお楽しみいただく方が多いです。
もちろん2釦のトラッド、1釦のトラッドなどというのもアリです。。
合理的なアメリカらしいといわれるトラッド・スーツ
フロントダーツ(胸ぐせ)の入らないボックス・シルエット、肩パットなども必要以上に
入れない、ナンバー・ワンサックスーツ、I 型(いちがた)スーツは、着ていて肩のこらない
着やすいスーツとして多くのビジネスマンに支持されるスーツとなっています。
フロントは3釦となりますが、衿の下げ止まりが、段返りという3個ある釦のうち、
真ん中の1つだけでしか掛けない形になるので、実質の釦位置は低く、2釦が主流の
流行時にも抵抗がありません。
合理的かどうかということについては、着やすいという意味では合理的、生地の要尺や
縫製の面では、タイトなブリティッシュ・スーツに比べたら不経済で合理的でないような気もします。。
トラッド・スーツが流行する前の1940年代末には、
肩先を誇張するために肩パットを多く入れ、巾広のラペル・ネクタイで大胆さを強調する
目立ちたがりの「ボールド・ルック」が流行していたことを考えると、その時代背景にあった
ファッションが流行するのかも知れません。
きっと、タイトなスーツが流行するのは、生地代と縫製工賃をケチる既製服メーカーの陰謀です・・^^
オーダースーツ Pitty Savile Row
http://www.order-suits.com/