アンコン仕立てのスーツ
「無構造服」。アンは否定、打消しの意味の接頭語。コンストラクテッドは「組み立てられた」の意味。
つまり、これまでの背広の絶対必要条件とされていた裏地、芯地、パッドを極力無視して仕立てられた、新しいスーツの名称である。
このようなスーツが生まれた背景には、イージーケア性を好む現代人の志向、よりソフトな服を追及するカジュアルファッションの伸展、レジャーライフを希望する生活態度などがある。また、スーツに限らず「アンコンストラクテッドな服」と表現することがあるように、すべての衣料にこうした傾向が伺える。”アンスーツ”、アンコンストラクテッド・スーツとも呼ばれる。
裏地・芯地・パッドなどの付属を最小限におさえることで、布地を体に沿わせソフトな着心地感になるのが特徴。
生活様式のカジュアル化がすすむ中で、重衣料的なビジネススーツも必然、歩みより、コットン、麻、ポリエステルなどのハイテク繊維で作られるカットソー、パンツなどとも相性の良いアンコン仕様は、スーツスタイルにとって欠かせないアイテムとなっている。
また、雨降り袖といわれるシャツ袖仕立て、マニカ・カミーチャを特徴とするナポリ・クラシコも付属類を極力省いたアンコン仕立てと言ってよく、その風通しの良さや軽さから、夏用はもちろん、秋冬用のシルエットとしても多くのファンを持つ。
■ナポリクラシコ
■ナポリクラシコ-シャツ袖
■ナポリクラシコスーツ専用|裏仕立てカバーオール
※背広
テーラード・スーツの日本での呼称。ロンドンの仕立て屋街サビル・ロウから派生した呼び名であるといわれるが語源は不明。背広服は、本来折り衿のものを原則とする。