イングリッシュ・ドレープ
1930年代から1940年代の初めにかけて、メンズファッションの主流となった流行型である。最初、ロンドンに生まれたそれは肩幅が広く胸をできるだけゆとり(ドレープ)をもたせ、袖山を大きく作って袖付け部分にくぼみが出来るほど極端なボールドルックだった。1920年代までの、スリムなシルエットに代わるそれは新鮮な感動を与え、その後の背広型に大きな影響を残した。ドレープルック、またジャケットを”イングリッシュラウンジ”とも呼ぶ。
現在多くの縫製メーカーで、ブリティッシュ・スーツとして提案されているシルエットのほとんどが、このイングリッシュ・ドレープを参考にしていると思われる。高めのウエストラインで絞ったシェイプドルック、厚めの肩パットからゆとり大めにドレープ感のあるバストラインを構築し、長めの裾にかけてフレアするドレッシーなスタイル。フロントカットは大きめにカッタウェイされたシルエットのもの。
正統的なテーラードの雰囲気漂う「背広」スタイルといえば、このイングリッシュ・ドレープを基本としたブリティッシュ・スーツのベスト付き3つ揃いと考えている人が多い。
※袖山
身頃と縫い合わせた袖付けのカーブ全体をいい、袖付け線ともいう。また袖のカーブの頂点から、袖下縫い目の位置までの高さ(寸法)をいったりもする。