ラグランスリーブ
肩をつけずに衿ぐりの上から袖ぐりの下までを斜めに切り替えて、そのまま袖としたもの。”肩抜き袖”のこと。クリミア戦争(1853年~1856年)の時、イギリス軍の最高司令官であったラグラン卿(1788~1855年)が、肩を負傷した兵士のために、機能的な袖を考案したことから、この名称が生まれた。トレンチコートといい、ダッフルコートといい、戦争は多くのアイディアを服飾界に与えているものである。
セミラグラン、スプリット・ラグラン・スリーブ、サドル・ラグラン・スリーブなどラグランスリーブにはいくつかのバリエーションがあり、コートだけでなくブルゾンなどにも用いられ応用範囲も広い。
ラグランスリーブは背部分も前身と同様、衿元から脇にかけて斜めに切り替えられているが、前身は通常のスーツスリーブとなっているものが、スプリットラグランと言われるもの。スプリットラグランをセミラグランという場合もある。
※袖ぐり
アームホールとも呼ばれ、衣服の袖のつく部分であり、服のシルエット表現や腕の動きに伴う機能性の上からもA.H寸法の大きさ、くりの形は服作りの上でのキーポイントであり、袖山の形と密接な関係にある。