ポストボーイ・ウエストコート
19世紀の英国でポストボーイ(郵便配達人)や
パステリアン(馬車の第一列左馬の騎手、また御者)たちに、
防寒を目的として着られていたベストで、
現在着用されているスーツと共生地で仕立てられるベストの原型とされるもの。
フロントデザインを、シングルブレステッド5ボタンとし、一番下のボタン位置から
12センチほどベスト丈を長く作るのが特徴的。
最下第5ボタンの位置に水平の飾りステッチをほどこし、腰位置にフラップポケットがふたつ、
ステッチの下につけられます。
フロントの裾は大きくカットされ、その先端は尖らせたり、
丸くしたりなど、また深いサイドベンツも特徴のひとつである。
多くはタッタソールチェック※の紡毛地が用いられた。
現在のベスト丈は、背丈がベルト下端より5cm程度長く、
前屈みになったときに、シャツが見えない程度。
袖なし胴衣として、スーツのVゾーンをレイヤーでかざる
ファッションアイテムとして、また作業のしやすい防寒着として
近年のブリティッシュスーツ人気から、注目度が高まっているアイテム。
※地色に対し対照的な2色を使った単純な格子柄。
タッターソールとは、ロンドンの馬市場の名前で、
それを創設したリチャード・タッタソールにちなんだもの。
馬に掛けた毛布の柄からきているので、別名、乗馬格子ともいう。