ジャズ・スーツ

第一次世界大戦後に流行したスーツの呼称。 ペッグトップモデルのトラウザースナロー・ショルダー(狭い肩)のジャケットを組み合わせたスタイル。ジャケットは特にディテールに凝っていて、胸が極端にフィットし、裾で大きく広がるフレヤード型であり、背中はプレーンまたは、ピンチバックコートのようにしたものもあった。多くは深いセンターベントでボタン数は1,2,3個と種類も多かった。
トラウザースはいわゆるベッグ・トップ・パンツで、ゆったりした腰周りから、裾に向かうにしたがって先細りになった形のもの。西洋梨のコマに形が似ているところから、ペッグ・トップのと呼ばれている。
現在のスーツの形としてみることはない、ジャズ・スタイルのスーツは、アメリカの黒人ジャズメンたちの間から起こったファッションスタイル。ジャケットの裾に向けて大きくフレアするシルエットは、タイトなウエストを強調して見せている。
第一次世界大戦以前に、それまでニューオリンズを中心に演奏されていたジャズが、大戦以降この軍港から南部以外の土地にも広がりを見せるのに合わせて流行したスーツの形。

※ピンチ・バック
ピンチは<はさむ><つまむ>の意で、コートなどの後ろ身頃に、ダーツやひだなどを入れて、背部をしぼり、引き締めたデザインをいう。