pitty savile row
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ラパラウンド・ポケット
ラパラウンド・ポケットは、ジャケットなどの前身と後身
にかけて、巻きつくほどの大きさで取り付けられたポケット
のこと。
ラパラウンドには、「身体に巻きつける」という意味がある
ところから。
オーダージャケットで、このポケットデザインを取り入れる
場合には、切りポケットとなると、前身、後身、サイドパーツに
かかるラパラウンド・ポケットは、その型紙、裁断に工夫が
必要。パッチポケット(アウトポケット)なら、比較的簡単な
カスタマイズで対応可。
縫製工場での直接縫製が難しい場合には、アウトポケットに
必要分の生地を取り寄せるなどして、仕上がり後に補修・後付け
できます。
ジャケスラ
それぞれ独立したジャケットとスラックスの組合せで着用する
トップス&ボトムス。
スーツが上下共生地で仕立てられたジャケット、スラックスで
あるのに対して、ジャケットはネイビーフラノ、パンツはグレーフラノ
など、異なる色、または素材で仕立てられたジャケット+スラックス
の組合せで着用するファッションスタイル。
ジャケパンとほぼ同義に用いられていますが、細かくは、
「ジャケット」+「パンツ」でいう「ジャケパン」の「パンツ」には、
ジーンズやショートパンツなども含まれ、若干カジュアル感の
強いコーディネートになります。
また、ジャケパンは近年用いられ始めた組合せのスタイル、
ジャケスラは、休日を過ごすためのカジュアルな上下服として、
古くから耳にすることのあるファッションスタイル。
ハリスツイードジャケットとフラノスラックスや、
リネンジャケットとコットンパンツ、フラノジャケットと
コーデュロイパンツなど。
替えズボン
ジャケット+パンツが共生地となるスーツに対して、単品でコーディネートする
独立したパンツという意味で用いられるもの。
古くはジャケスラ(ジャケット+スラックス)、現在では同じ意味合いで
用いられていますがジャケパン(ジャケット+パンツ)の下衣(ズボン)に
該当します。
また、2パンツスーツ(ジャケット+パンツ2本)で着用する場合の、
もう1本の替えパンツという意味でも使われます。
ジャケパンは春夏シーズン、秋冬シーズンを問わず、カジュアルはもちろん、
ビジネス用にも広く取り入れられており、リネン素材のジャケットに
コットンパンツや、ハリスツイードジャケットにモールスキンパンツなどは
定番中の定番。
ハンガーループ
ジャケットの衿腰裏側に付けられるもので、「チェーンハンガー」や
「衿吊り」と言われるもの。
ジャケットを着用後には、型崩れやシワ伸ばしなどのために、
ハンガーの肩部分もしっかりと厚めのものに掛けて保管するのが
理想的ですが、仕事や会議中、または飲食の場でちょっと脱いで
というときなどに、このハンガーループがあると、ハンガーが
なくとも、邪魔にならずポールハンガー等フックに掛けることで
一時的な保管ができます。
現在のスーツ事情では、使われることが少なく、その意味を
知っている方も少なくなっています。
ワタリ巾
ワタリ巾は、渡り巾などとも書きます。
スラックスを平台などに置き、クロッチ部分を水平に採寸した寸法で、
人体のヒップまわり寸法に大きく左右される寸法。
ノータックパンツよりワンタックパンツ、そしてツータックパンツの
ほうが、タック量の分だけ、ワタリ巾の太いパンツが作られます。
既製のスラックスでは、ウエストが太ければワタリ巾も広いという
ことになりますが、オーダーのスラックスでは、このワタリ巾寸法
を指定することができるので、ノータックパンツでもモモ部分を
極端に太くしたオックスフォードバッグスやバギーパンツなどと
いうシルエットのパンツも仕立てることができ、タック入りの
パンツならより太めのパンツシルエットを作り出すことができます。
また、逆にストーブパイプや、パイプドステムなどのスリムパンツ
には、タックのないノータックパンツのほうが向いていると言えます。
タブベルト
パンツのウエスト部分に付ける持ち出し型のベルトで、
別名、エクステンション・ウエストバントや、そのまま「持ち出し」
といいます。
フロント部のウエストバンド先端を6~7cm程度伸ばし、持ち出し
の形にしたもので、釦で止められるもの。
本来はベルトを使わないベルトレスにセットされるパンツの
デザインとしてループが付けられず、アジャスターや、
脇尾錠、バックストラップ(後ろ尾錠)で調整されるもの
ですが、腰のフィット感を増し、またデザイン的なところから
ベルトを使用するループ付きスラックスにも、選ばれることの多い
デザインとなっています。
この持ち出しの先端は一般には、四角となっていますが、先端を
剣型とした「持ち出し剣型・三角」といったデザインも
オーダーパンツではご指定可。
シガレットパンツ
シガレットパンツはシガレット(紙巻タバコ)のように細く長いストレート型
のシルエットをもつパンツのことで、パンツの折り目線(クリース)が
強調されないのが特徴的。ジーンズでこのシルエットを持つものを
とくにシガレットジーンズと呼びます。
このシガレットパンツは、タイトでスリム、身体にぴったりとフィットした
パンツシルエットのものを呼ぶのではなく、細長い筒型のシルエットのもの。
アイビーパンツのパンツシルエットとなる、ストーブパイプ(パイプドステム)と
同様のストレートレッグ・スラックス。
また、これより若干太巾で作られた筒型のシルエットパンツを、
ドレーンパイプ(排水管)・パンツといいます。
また、シガレットのような細長い筒型の衣服に対して用いる
ファッション用語に、シガレットラインがあります。
ドレーンパイプ・パンツ
細身のパンツシルエットには、アイビーパンツのシルエットとなる
ストーブパイプ(パイプドステム)や細身パンツを総称するナローパンツ、
スリムパンツなどいくつかのものがありますが、このドレーンパイプ・パンツは、
ドレーンパイプ(排水管)のように細くストレートな筒型のシルエットを
持つことからこのように呼ばれています。
同じくストレートな筒型・細身なシルエットをしたシガレットパンツ
よりも若干太めで、1950年代に流行したテディボーイ・スタイルの
スラックスを特にこう呼んでいました。
テディーボーイ・ルックは1950年代のロンドンの下町に住む
ティーンズの間で流行したファッションで、ウエストのフィットした
丈長のジャケットにタイトなパンツ、厚底の靴に前髪をふくらませた
髪型をしたファッションスタイル。
エドワーディアンルックを誇張した個性的なスタイル。
リップル加工
シアサッカーのシワが直線状にでるしじら(縞状のしぼ)
であるのに対して、リップル加工で出すことができる
サッカーじわは、水玉、花柄など自由。
スーツやジャケット服地にこのリップル加工が用いられる場合には、
盛夏用や夏用服地に、さざ波のような凹凸のある単調な織り柄
であることが多く、Pitty Savile Rowでは、御幸毛織の春夏用カジュアル、
ジャケット&トラウザーズにその生地柄を見ることができます。
このシワ加工は、シアサッカーが経糸の張力を部分的に変化させ、
織りによって出される自然なシワなのに対して、このリップル加工は、
コットンやレーヨンが苛性ソーダに対して収縮する性質に着目し、
印捺しない箇所にシワを生じさせるもの。
別名、クリンプ加工、クレポン・エフェクト加工とも言われます。
ロースラング
ロースラングは、股上が浅いローライズパンツのように、
腰の低い位置で吊ってはく状態をいいます。ロースラング・パンツ。
スラングには、(衣服などを)ひっかけるという意味があるため、
パンツやスカート、ベルトなどをこの状態で着用するものを、
ロースラングといってその状態をあらわします。
ロースラングと同様のものに、ヒップボーン、ヒップハンガーなどがあり、
ローウエストで着用し、腰骨に引っ掛けてはく、股上の浅いパンツ。
これらの股上の浅いシルエットのパンツが流行したのは、1960年代~70年代
のことで、ヒップボーンパンツなどのパンツシルエットは70年代ファッションの
代名詞とされています。
また、ここ数年のタイトパンツにもその傾向があり、浅いものでは
股上の深さ20cm程度のものまで。
オーダースラックスではこの股上寸法の指定も、ご希望寸法での
オーダーが可。
インタックパンツ(内ヒダスラックス)
スラックスのタックは一般的には外側に向いている外ヒダ(アウトタック)
ですが、このインタックはヒダの向きが内側に向いているもの。
アウトタックの1タックパンツや2タックパンツと同じく、
内側に向いたヒダが1本あるインタックの1タックパンツや、
2本ある2タックパンツなどの種類があります。
オーダースラックスらしいディテールデザインで、
ただ外側に向いたヒダを中心(内側)に向けているだけのもののため、
オプション料などもかからず、見た目のオーダースラックスらしい
効果は大きいものがあると思います。
インバーテッドベントやタック、ハコヒダ、ボックスプリーツなどと
言われるものは、このインタックとアウトタックの両方を用いて
デザインされています。