pitty savile row

セットインは、「はめ込み」「縫込み」などの意味があり、パッチポケット（アウトポケット）に対して、切り込みポケットの総称。パッチポケットのように生地の表側に貼り付けられたものは、セット・オン・ポケットという。
ほとんどのポケットの形に当てはめられ、玉縁ポケット（パイピングポケット）、ウエルトポケットなど、フタ付き・フタなし、水平・斜めの区別なく、生地表に切り込みを入れ袋布を内側に付けてポケットの形としたものになる。
ほかに、「セットイン・ベルト」と言われる場合には、あらかじめ衣服に縫い付けられ取り外しができないようになっている装飾的ベルト、普通袖（スーツ・スリーブ）として用いられる「セットイン・スリーブ」は、通常のアームホール位置に付けられた２枚袖のこと。

箱ポケット、玉ぶちのポケットのこと。ジャケットやスーツに切り込みを入れ、内側に袋布のあるポケットの切り口を飾ったもの。
スリットは「細長い切れ目」を意味し、ジャケットの袖口やスカートやパンツの裾に開けられることが多く、装飾的に用いられることのほか、運動量を増すためのデザインとされることも多い。ベントと異なるところは、ベントが片重ねといわれ布地が重なる部分を持つのに対し、スリットは重なる部分を持たない突き合わせなところ。
ポケットの切り口に用いられるスリットは、ポケット口を細い玉縁で飾られるスラッシュ・ポケットの一種とされ、パンツの脇縫い目に沿って作られる縦ポケットはスラッシュ・ポケットの代表的なもの。

フラップポケットの変型で、フラップが逆山型になったもの。 スカラップはもともと帆立貝（scallop)のことで、この貝の縁に似せた形をこう呼んでいたもの。この帆立貝のような波形模様のことを、スカラップト・エッジといい、ポケットの他にスカートや衿などにも用いられる。scarapはそれから転じて日本語化したものと思える。また、理容用語のスカルプチュアカット（レザーカット）から転じたという説もある。
フタ付きポケットの変わり型となるスカラップ・ポケットは、ファンシーで装飾的なデザインとして、フタ部分に入る色ステッチや、パッチ＆フラップポケットなどと一緒に組み合わされることもある。
スカラップと言われる装飾的デザインは他に、スカラップ・ネックライン、スカラップ・ステッチなど、どれも帆立貝の縁の波形模様をモチーフとしたもの。

両玉ブチのポケットのこと。 ダブルパイピングポケットともいう。
ジェッテッドは「噴出する」とか「突出する」という意味で、一般にフタを付けているため隠れている玉縁が露出しているという意味。
玉縁はポケットの切り口を共生地または別布をバイアスカットしたものを、縁取りとして付けたもので、もみ玉などとも言われるもの。
パイピング＝玉縁。
両玉縁はポケットなどの切り口の上下にパイピングとしたもので、片玉縁は下のみにパイピングが付くもの。また、この玉縁が装飾的に用いられる場合、通常４～５ミリのパイピングの巾を太めにしたりすることがある。
リネン・麻スーツやコットンスーツなど、カジュアルな素材で作るテーラードアイテムとの相性が良い。

切り口が三日月状にカーブしたポケットのこと。 ウエスタンシャツのポケットデザイン、ウエスタン歌手用の派手なジャケットのそれに多く見られる。
ウエスタン・シャツはカウボーイシャツとも言われ、刺繍や胸のクレッセントポケット、カーブしたヨークなど派手めなデザインを特徴とするスポーティーなシャツのこと。
クレッセント（クレセント）が三日月の意で、ジーンズの前ポケットなどにも使われる。また、ムーン・ポケットは、クレッセントポケットと同様、三日月のような形をした細い玉縁のポケットとなる。
玉縁はポケットの切り口などをバイアスの共生地または別布で作った縁取りのこと。テーラーメイドでは、玉縁の太さなども指定することがある。

スポーツウエアの前身頃中央に付いた大型のパッチポケット。カンガルーの腹袋を連想させるので、この呼び名がある。アノラック、ヨットパーカに見ることができる。エプロン、スエット・シャツ、子供服などにも付けられ、実用的かつ装飾的なポケット。
通常パッチ・ポケットといわれるアウト・ポケットにもさまざまな形があり、表生地と共生地を貼り付けただけのものから、フタ付きとしたもの、フタ付き釦止めとしたもの、ポケットの袋布の部分にプリーツを入れたもの、ポケットの脇のヒダをとりアコーディオン・ポケットのようにしたものなど。
カンガルー・ポケットとするためには、カンガルーの腹部の袋のようにかぶり式衣類の前身頃中央に特徴的に付けられている大型のアウトポケットの形をしていることが重要。

へり飾りのあて布を付けたポケットのこと。 背広の胸ポケットがこれに当たる。ウエルトとは「へり飾り」のこと。ウエルテッドポケット、箱ポケットともいう。
ポケットの切り口に一般には箱型の切り替えポケットを付けたもので、この箱型の切り替え部分の脇端側を、舟のへさきのように尖らせたものを舟型ポケットとかバルカポケットといい、脇に向けての切り替えが細くなっているために、胸のドレープ感が出しやすくキレイなシルエットが出るウエルト・ポケットの作り方とされている。
また、このウエストポケットは胸ポケットばかりでなく、ジャケットのサイドポケット（腰ポケット）、パンツのピスポケット（後ろポケット）などにも、装飾的に使われる。ベストの腰位置のポケットとしては標準仕様とされることも多い。

フラップポケットのこと。 雨蓋（フラップ）のついた隠し（ポケット）の意。外来の服飾用語を日本語に直した言葉の中でも秀逸なものである。
ポケット口をおおう雨をよけるためのフタという意味で、雨蓋と言われるもの。フタの角はとられ丸くなっているのが一般的だが、アイビー・リーグ・モデルのジャケットには、角フタ（フタの角を直角としたもの）などもある。ポケットの切り口を斜めにしたハッキングポケットなどの場合には、合わせてフラップも変形し、平行四辺形のような形となるため、個性的なデザインとしてのオーダースーツ的カスタマイズ度も高い。
雨蓋のないフタなし（フラップなし）ポケットというものもある。

楽器のアコーディオンの胴に見られるような「たたみヒダ」をつけたポケットのこと。このヒダをアコーディオンプリーツと呼ぶ。カーゴパンツなどのポケットに見られる、大きくて機能的なものである。
別名を風琴ポケットやベローズ・ポケットともいう。風琴はオルガン、手風琴がアコーディオンのことになります。ベローズは蛇腹のこととなるので、細いたたみヒダのまちの入ったアコーディオン・ポケットとは同じ形のもの。
アコーディオン・ポケットに特徴的なアコーディオン・プリーツは、スカートに入れられることが多いもので、巾５ミリ～１．５ｃｍ程度の細い立体的なプリーツ。
このようなプリーツをとることで、装飾的であるほか、より多くのものを入れることを目的としたワークパンツにも使われるデザイン。

セットインポケットに対して、はりつけポケットのこと。 パッチポケットともいう。またインサイドポケット（内ポケット）に対して外側に付けられるポケットの総称としても使われる。この場合には、アウトサイド・ポケットといわれる。アウトサイドは（外側・外部）の意。
オーダースーツでは、ジャケット、パンツともアウトポケットをディテールとするデザインは多く、一般には、ジャケットのチェストポケット、ウエストポケット、パンツのピスポケットなど、フタなし、フタ付き、脇をプリーツとしたアコーディオン・ポケットなども。
また、パンツの側面に機能的なポケットとして付けられる、カーゴポケットもアウトポケットの一種。