アンゴラウサギの毛のことで、繊維が極めて細く、
柔らかな感触が特徴的な獣毛素材。
スーツ地にも使用されるこのアンゴラウサギの毛は、
どれだけ多くの空気を取り込めるかで決まる繊維内に、
中空の構造を持っているため、暖かさはウールの３倍、
軽さは３分の１程度。
繊維の表面が滑らかなため、肌ざわりが良いという反面、
ウールのようなウロコ状の組織をもたないため、毛が抜けやすく、
その風合いを生かすための甘い撚りは、着用時こすれること
などによってピリングが起きやすいといってデメリットも
あります。
このアンゴラウサギの毛は、中国が最大の生産国で、
全生産量の９５％を占めています。
また、アンゴラやぎから作られる毛はモヘアと
呼ばれ、金属的な涼しげな光沢感のある
春夏向き素材として、高級スーツ地や礼服地に多く
用いられています。
クリンプは、主にウールにある「繊維の縮れ」のこと。
ウール繊維は電子顕微鏡などで拡大して見るとウロコ状の表皮部分（スケール）と、皮質部分（コルテックス）の２層構造となっており、このそれぞれの層の性質の差が吸湿・乾燥により収縮差を生じ（ハイグラル・エキスパンション）、クリンプ（縮れ）のもととなっています。
このクリンプのためにスプリングのように縮れたウール繊維一本一本を束ねることで、その繊維束には隙間が生じ、より多くの空気をウール内に取り込むことができるので、寒い冬には断熱効果から暖かく、暑い夏には熱伝導率を抑えることから衣服内を涼しく保ってくれます。
コットンやリネンは夏涼しい服地の代表と思われがちですが、熱伝導率の高さではウールはコットンよりも高く、ビジネススーツ的耐久素材、汚れにく、燃えにくいなど優れた点を考えてもウールの品質の高さは盛夏シーズンにも利用すべき点が多くあります。
カジュアルっぽい着心地感、コーディネートではやはり、コットンやリネンにはかないません。
南米、ペルーやボリビアの高地に棲息する山羊に似た野生の動物（ラクダ科ラマ属）、ビキューナの毛から作られる織物。
これらエクアドルからアルゼンチンにかけての海抜６０００メートル以上という高地に住むビキューナ自体、数が少なく養殖できないし、また数十頭で群れをなし、山岳地帯をすばやく逃げ回るので傷をつけずに捕らえることが非常に難しい。
手触りが非常に柔らかいのが特徴で、太さ７～１８ミクロン、長さ２～１０ｃｍ程度の極細く、柔らかく繊細な毛が身体を覆っている。
こんな理由から世界最高の生地だといえる。通常、紡毛織物に施す縮絨、起毛後剪毛して毛羽を揃えるメルトン仕上げをほどこして高級オーバー地にする。
オーダースーツでも、カシミヤで仕立てられるジャケットなどと同様、ビキューナの生地はオーダージャケットやオーダーコート用の高級服地として、用いられることも多いもの。
なお、この生地はスコットランドのジェイムズジョンストン社のものが世界最高とされている。
らくだの柔らかな毛を混ぜて織られた生地のこと。 また、これに似た外観をもつものもキャメルと呼ばれる。
ポロコートはこれで作られたものが本格的であるが、現在その素材はさまざま。ポロ競技者の待ち時間用ウエイトコートを、ブルックスブラザーズがこの名前で売り出したもの。
衣服に用いられるキャメルヘアは、アジア産のフタコブらくだのもので、クリンプがなくシルクのような光沢感があるのが特徴的。毛の太さはカシミヤよりも若干太く、２０ミクロン前後、５～７センチの長さのもの。
正しくは”キャメルスヘアークロス”といい、暖かくて軽い厚手コート地のことをさす。
また、キャメルはカシミアコート定番のキャメル色のことをいう。キャメル色は、らくだの毛の色のことで、砂漠の生活に適するように明るく、若干灰色がかった茶色のことで、ポロコートもこのキャメル色が基本。
インドカシミール地方産の山羊毛またはこれを原料とした織物のこと。厳密には、カシミアヤギの下毛（肌のすぐ近くに生えている柔らかい毛）のことで、優れた保温性と絹のような光沢を持つ。
しかし現在ではカシミアのように柔らかいウールで織られた生地のこともこの名称で呼んでいる。綾織で美しく柔らかなタッチが特徴となっている。カシミア地。中国、モンゴル、イランがその主要な産地となっている。
カシミアの品質の高さを見分けるひとつの目安として、カシミア生地の目付け量というものがある。目付けとは、１平方メートルあたりの生地の重さのことで、重いものほど目詰まりが良く、暖かい。
カシミアで仕立てられたオーダージャケット、コートは最上品質もの。カジュアル素材として人気の高い、ハリスツイード、フラノなどとは、また風合いの異なった高級感の高いアイテムとなる。
アンゴラうさぎ（主にアンゴララビット）やアンゴラ山羊からとれる毛で作られる。
アンゴラ・ヤーンは、アンゴララビットの毛で作られた糸の
ことで、アンゴラ山羊から採られる毛は、モヘアと呼ばれ区別されます。
アンゴラヤーンは、およそ１５０年前にフランスで初めて紡績され、
「軽さはウールの３分の１、暖かさは３倍」といわれており、
それだけで、また混紡して、ニット、セーター、ジャケット、スーツなどに用いられる。
なかでもアンゴラヤーンで編まれた、毛足が長く軽く暖かいのが
特徴的なアンゴラセーターは人気が高い。
アンゴラの繊維はきわめて細く、中空構造のため空気を含むと
かさ高となり、なめらかな表面のため、そのさわり心地はとても柔らか。
原産地トルコの首都の名からこの名称があり、
現在は中国がアンゴラの最大の生産国となっている。
南米ペルー産の山羊の1種、アルパカまたはラマ（リャマ）の毛を原料とする光沢のあるすべりの良い薄手生地。
衣類・アパレルでアルパカといわれる場合、その毛で作られた織物全般をさすが、オーダースーツで用いられるのは、そのすべりの良さから高級裏地としての用途のみ。
現在では、ポリエステル裏地を初めとして、キュプラ裏地など、丈夫さ・すべりの良さという機能的な面も、光沢感・染色性の良さからも、無地・ストライプ柄、ファンシー柄、小紋柄、チェック柄など多くの種類がある。
アルパカの毛で作られた裏地は、使いやすくなった現在の胴裏地に比べて、優れた点を探すことは難しいと思うのですが、その独特の裏地の雰囲気は、なかなかにおしゃれ心をくすぐります。
稀に、お客様から採寸用にお預かりするスーツの中に、アルパカで作られた胴裏地などを見つけるとうれしくなってしまいます。。
Pitty Savile Rowでも、オーダージャケットのオプションとして対応させていただくことができ、＠￥3150の有料オプション。
動物繊維。羊毛、山羊毛、モヘアなどの獣毛繊維と絹繊維など動物から作られる繊維の総称である。
スーツ生地として広く普及している「ウール」と呼ばれるのは、羊の毛のみで、その他の獣毛は「ヘア」と呼ばれる。
これらヘアの中でもスーツ生地として用いられる高級獣毛とされるものに、カシミア、モヘアなどがある。
スーツ生地としての「ウール」は１９世紀になって白色の羊毛を産する緬羊・メリノ種が交配されるようになってから。現在では衣料用羊毛としての生産高のうち、４５％の割合を占める。主な産地はオーストラリア、そのルーツはスペイン。
夏の高級服地として知られているモヘアは、本来、アンゴラ山羊の毛から織られたものとされるが、現在では類似する性質、光沢をもつ素材一般をさす。太い糸で織りが粗く、絹をしのぐ光沢を持つと言われている高級素材。