コート
ウォッチ・コート
水兵や船員が、風が強く寒さの厳しい船上で作業する際に
着用する厚手のウールでできたダブルのショート丈の
コートのこと。
どちらから強い風が吹いたときにも対応できるように、
ダブルの前合わせを、左右両方から止められるように
作られている。
このデザインのショート丈コートは、「ピーコート」
の名前で知られており、「ウォッチコート」は、主に
見張り番をする際に着られることから。
ほか「パイロットコート」「ブリッジコート」などとも
呼ばれます。
色はネイビーブルー、素材はメルトンが基本で、
寒さで冷えた手を暖めるたり、風よけのために、
タテにポケット口を切った、ハンドウォーマーポケットが
付けられるのが特徴的。
プリンスアルバート
フロックコートの別称。
イギリスではフロックコートと呼ぶのに対して、アメリカでは、
英国王エドワード7世がその皇太子時代にアメリカを訪問した際、
着用していたことからその名に因んで、プリンス・アルバートと
呼ばれています。正式名称はプリンス・アルバート・コート。
同名のきざみタバコの缶の表にフロックコートを着た姿が見られます。
フロックコートはモーニング以前に日中に男性が着用する
正礼装だったフォーマルスーツ。
ダブルの打ち合いの4個または6個釦で、ヒザ丈程度の
長さ、縞ズボンを合わせて着用します。
カーコート
自動車用のコートとして作られたスポーティーで機能的なデザインの
ショートコートの総称。
自動車用のほかスポーツコートなど、多用途に着られる
フィンガーチップレングスまでのコットン・ギャバジン※、
コットン・ポプリンレザーなど軽快な感じの素材で作られた
ショートコートを総称することが多い。
フィンガーチップレングスはジャケットの着丈の目安とするもので、
腕を自然に下ろした状態のときの指先位置に、着丈の裾がくる長さのこと。
カーコートは、本来はオープンタイプのスポーツカーのためにデザインされたものである。
※一般に短縮してギャバと呼ばれる。
緻密に織られた腰のある丈夫な綾織物のこと。
綿、ウール(梳毛)、合繊などで作られる。
通常経(たて)糸本数が緯(よこ)糸の2倍程度使われ、
綾目が急勾配になっており、表側の綾目がくっきり立って
いるのに対し、裏面は比較的フラットになっている。
面、ウールとも双糸使いが多く、主用途は、スーツやコートなど。
オーバーコート
防寒用コートの総称。
厚手のウール素材などで作られている場合が多く、
より防寒効果を増すためにボアを裏地として用いたり、
寒い地域では毛皮を裏打ちとされたものもあります。
単に”オーバー”とも言われ、
スーツ、背広などの上にかさねて着られることからの名称ですが、
厚手のオーバーコートに対して薄手で作られたものをトップコート
(スプリングコート)といい区別しています。
防寒用コートがオーバーコートと呼ばれるようになったのは、
18世紀ごろからで、当時は男性用のコートのみに対して
使われていました。
オーバーコートのスタイルはさまざまで、
チェスターコート、ダッフルコート、トレンチコート、
バルマカンなどすべてが含まれます。
ルダンゴト
ライディングコート(乗馬用上着)という英語
がフランス語になまったものですが、現在では、
コートシルエットのうち、ウエスト部が絞られ裾が広がった
コートの総称。
歴史的には17世紀末から18世紀にかけての男性の日常服であった
ジュストコール※の上に用いたのが始まりとされる。
時代によっていろいろな形がありましたが、ジュストコール、ルダンゴトの両方とも、
現代の男子服の原型とされており、また婦人もののガウンやコートは
このルダンゴトから派生したもの。
※17世紀を中心に男性に着用された上着のひとつ。
<胴体にぴったりした>という言葉の意味どおり、
上半身は細く腰からは裾広がりになっているのが特徴。
はじめは簡素だったが、次第に装飾が加えられて
18世紀のアビに継承されました。
ランバーコート
ランバーとは「材木」のこと。 主にきこりたちが愛用した丈の短いコートのこと。ボールドな格子柄の厚手生地で作られることが多い。
ランチコート
ランチとは「牧場」のこと。
アメリカ西部の大牧場でカウボーイたちが屋外での
作業用に着た実用的な防寒コートをいう。
スリークォーターレングスまたはフィンガーチップレングスの
ショート丈のコートで、裏地にボアなどを張り、それが衿などに
つながった形をしています。
本格的なものはスエードで作られていますが、現在では、コットンスエードで
代用してタウンウエア(街着)として着用されることが多く、このランチコート
のなかには羊の毛皮で作られたシアリングコートも含まれます。
デザインバリエーションは多いのですが、全体にウエスタン感覚を
基本にしているものが多い。
※ジャケットの着丈が腕を自然に下ろしたときの指先までの長さであること。
紳士服のジャケットの着丈を説明するときに使う言葉。
ライナーコート
ウールなどの保温のための裏地をジッパーや、釦などで
取り外しができるようになったコートのことで、
ジップ・アップ・ライニング・コートと同意。
春や秋にはダスターコートやレインコートとして
着用する、風、ほこりよけ、雨よけのための比較的薄手の
コートの裏側に、取り外しのできる保温性のある裏地を
付けて冬にも着用できるコートとしたものを、
オールシーズン・コート、スリーシーズン・コートと
いうことから、ライナーコートはこれらコートとも
ほぼ同じものとされています。
また、その裏地自体をコートとして使用するものも
ライナーコートということがあり、エコロジーな
省エネの目的からも注目される新しいアイテム。
ボックスコート
ボックス型のシルエットをしたオーバーコートや
トップコートなどの総称。
全体的に箱(ボックス)のようなシルエットをしているために
こう呼ばれるもので、肩パッドでショルダーラインを四角く
成形し、ウエストを絞らない直線的な身頃となる、
ストレートハンギングラインで、
その多くがセットインスリーブ※、短い着丈を特徴とした
背広型のデザインで、前合わせはフライフロント(比翼仕立て)
もしくはボタンスルー(打ち抜き釦止め)とされています。
厚手の紡毛地で作られたダブル6釦、短い着丈のリーファージャケットは、
このボックスコートの代表的なもの。
※通常のアームホール位置につけられた基本的なつけ袖のこと。
<普通袖>ともいい、最も基本的な袖の形式。
フーデッドコート
フード付きとしたコートの総称。
フードは、防水や防寒を目的として付けられる、帽子の形をした
頭にかぶる、かぶり物の一種。
11世紀ごろから用いられていたフードは、頭にすっぽりと
かぶることを特徴としたもので、次第にハットへとその
需要が替わっていったものですが、ハットのように特定の
形を持たないところに大きな違いがあります。
スポーツウエアや、作業着、防寒目的のカジュアルウエアにも
必須のアイテムとなるフードは、厚手の起毛素材で作られる
ショートコートで、角型のトグルボタンを大きな特徴とする
ダッフルコート、ウィンタースポーツを
行う際、ベンチで待機する間の防寒用衣服として用いられる
ベンチウォーマー、のほかアラスカンコートなどが代表的なもの。
ダッフルコートなどは、ビジネススーツ着用時の防寒用コート
としても用いられます。
ピージャケット
ピーコートの別名。
ピーとはオランダで織られていた厚手の生地の名称である。
1850年代アメリカ海軍、イギリス海軍の制服として採用されたもので、
風の強い船上においての作業中、より防寒効果を高めるために、
風向きにより打ち合いを変えることができるように作られた
厚手ウール製ダブルのショートコート。
手を暖めることができるよう、腰位置の左右に、
縦型となるハンドウォーマーポケットが付いている。
ブリッジ(艦橋)などで水夫が見張り番用の防寒用ショートコートとして
着たことから”ウォッチコート”、”ブリッジコート”のほか、
パイロットコート、キャバンとも呼ばれます。