コットン
モールスキン
太い番手の綿糸を起毛させながら織り上げたコットンのこと。
本来は、モグラの毛皮のことを意味するため、現在モールスキンと
呼ばれるコットンの生地表面も、モグラの毛皮と同様、ベルベットの
ような光沢感と柔らかな肌触りがあります。
コットンは太い番手で織られるとごわつくものですが、両面を起毛させて
あるため、多くの空気を含ませることができ、保温性に優れた機能性と
肌触りの良さを感じさせてくれる織物となっています。
ハリスツイードジャケットなど、ツイードジャケットとの相性は抜群。
日本名は「もぐら」
もぐらの毛皮はほとんど使われることがなくなりましたが、
イギリスの王女が、スコティッシュ・モール製のガーメントを
着用したことが初めとされています。
モスリン
梳毛織物の一種で欧米では下着やシャツ向きの平織り・薄地な綿織物を総称的に用いる言葉。
モスリンには古い歴史があり、名前の由来はフランスで「モスリン」と呼ばれたことによるのであるが、そのはじめはメソポタミアの首都モスルで織られていた薄地の綿織物。
絹で織られたものを、「モスリン・ドゥ・ソワ」と呼び、この薄地の織物を何枚にも重ねて豪華なドレスとする。
日本では、メリノ種羊毛を使った純毛のモスリンを唐縮緬(とうちりめん)と呼び、かつて関西ではメレンス、関東ではメリンスなどと呼ばれた柔らかな薄地織物をいう。綿製品を特に綿モスリンという。
用途は無地染めやプリントをされ、シャツ地やふとん地、帯地などに使われることが多い。
ブロードクロス
ブロードクロスには組織が密でかっちりして柔らかな、光沢を特徴とした平織りコットン地で、生地表面にある微細なヨコ畝を特徴とするもの。
紡毛織物の中でも最上品質とされる、縮絨・起毛された薄地中肉、ビロードのような光沢感・手触り感のをもつ毛織物をいう場合とがある。
服飾関係でブロードクロスの名前を聞くのは、おもにシャツ生地として。シルケット加工を施してある綿織物は、手触りが柔らかく光沢感があり、カッターシャツのほかパジャマやエプロン、カジュアル度の強いスーツ用生地、シャツジャケットなどとしても用いられる。
ブロードクロスは英国では同じものをポプリンと呼んでおり、ブロードの名称はこの織物の反物が幅広であったところから。また、まったく別の意味で巾の広いのラシャ地に対してブロードクロスと呼ぶ場合もある。
バティスト
薄手で柔らかい平織りコットン地のひとつ。 高級なドレスシャツの生地やハンカチーフとして用いられる。
バティストと同じく、コットンの平織り地には、コーマ糸といわれる比較的細番手の綿糸を斜子織りした「オックスフォード」、布面にごく細いヨコ畝があり、柔らかな手触りと光沢感が特徴的な「ブロードクロス」、細い綿糸を用いて織られた目の詰んだ綿織物「ローン」などがある。「ローン」はフランスのローンで産出されたリネンに由来する織物のため、麻の手触り感を持たせた仕上げが特徴的。
どれもがシャツ生地として用いられることが多い平織りコットン地。近頃では、クールビズの傾向から芯地・裏地を用いないシャツジャケットなどの生地としても目が向けられている。
もともとフランスのリネン業者、ジャン・バプティが最初に織り出したことからこの名称がある。
ドビークロス
規則正しい連続模様を織り出せるドビー製織機によって織り上げられる小紋の地紋柄のあるコットン生地のこと。
ドビー製織機によって織られた縞柄をドビーストライプ、連続した格子柄をもつ織り柄をドビーチェックといいます。
太畝、畝織りの織物のことをいう「ピケ」、生地表面が梨の皮のようなざらつき感があるため梨地織りの一種とされる「アムンゼン」、生地表面にひし形の凹凸感のある「蜂巣織り」などは、ドビー織りの一種となる。
繊細なヨコ畝の平織りコットン生地であるブロードクロス、細番手のコーマ糸を籠の目状(斜子織り)としたオックスフォードと共に、ドレスシャツ用に使われるが、これらに比較して生地の張りが少ないという特徴がある。
ほぼ無地に近いブロードクロス、オックスフォードに対して、ドビークロスは、ビジネススーツに合わせることが多いドレスシャツに多く用いられる白色生地でも織り柄感の強いシャツ生地となる。
デニム
厚手の綾織りコットン地の1種。
ジーンズの素材としておなじみである。一般的には、経糸にインディゴ(インド藍のことで、藍色で染められる天然染料の代名詞、藍を総称するものとして使われる)で染めた10~14番手の糸、ヨコ糸に12~16番程度の晒し糸を用いて織られる。
この名称はサージドニーム(フランスのニーム地方産の綿サージの意味)の下半分がつまって生まれたもの。"ジーン"と同義で、これをパンツにした場合、ジーンズと呼ぶ。
デニムルックといえば、ジーンズを中心にした服装を意味する。デニムはジーンズの代名詞。
ポリウレタン、スパンデックスを混紡したコットンデニムなど履き心地が改善された新機能素材なども人気がある。
またインディゴで染められる従来のジーンズのほか、カラーデニムなども多く作られるようになり、ツイードジャケットや色違いのコットンジャケット+コットンパンツなどで着こなすジャケパンスタイルのコーディネートにもひと役かっている。
※サージ
もともとは絹織物であったが、現在ではウールをはじめ綿、レーヨン、合繊などでさまざまな種類のものが生産されている。とくにウール・サージは梳毛織物の代表的なものの一つとなっており、スーツや制服などに広く使われている。
チノ
厚手の綾織りコットン地の1種。コットンの双糸で織られており、はじめに第一次大戦中のアメリカ陸軍が中国でこの生地を調達し使い始めたことからこのチノの呼び方がある。
カーキ、生成り、白などの色が多かったが、現在ではさまざまな色に染められている。コットンパンツ、コットンジャケットなど、ことにカジュアルなそれに使われることが多い。
”チノーズ”は、この生地を使って作られたスラックスのこと。”チノクロス”がいわゆる丈夫で厚手な綿布のことを意味し、チノーズがこの生地を用いて作られたパンツ、スラックス。チノパンツは和製英語で、チノパンはそれが省略されたもの。
カジュアルパンツの定番コットンパンツがイコール、チノパンと呼ばれるほど、コットン製のパンツとして名前が浸透している。
※生成り
これ自体は色名ではない。色のニュアンスとしては未加工の天然素材色で、オフ・ホワイトに結びつく。
ダンガリー
厚手の綾織りコットン地。 デニムの薄手版としてよくジーンズに使われるが、デニムの織りがタテに染糸、ヨコに晒(さらし)糸を使った綾織りであるのに対し、これはタテに晒糸、ヨコに染糸を使っている。
シャツやブルゾンなどカジュアルウエア用に用途がある。
また、ダンガリーズといわれる場合、丈夫な綾織り綿布であるダンガリーを使って作ったパンツのことをいい、オーバーオールと同様労働者の作業着として使われ、肩ひもと胸当てのついた形をしている。
もともとインドのポンペイで織られ、18世紀には水夫の船上服として用いられたものである。語源はヒンズー語のdungriから。
若者のカジュアル衣料の定番素材ダンガリーは、主にシャツ。パンツはジーンズ、ジャケットはジージャンと、すべてジーンズ系素材というコーディネートはよく見るもの。
※晒し糸
精錬・漂白して白色にした糸。色糸、染め糸に対する白色の糸のこと。
シャンブレイ
平織り綿布の1種。 タテヨコに色糸を使い分け、見る角度によってどちらかが強く見える性質を持つ生地である。
この効果をシャンブレー効果といい、イリデッセント、玉虫調と呼ぶことがある。玉虫調にみえる織物には、玉虫クレバ(クレバネット)といわれる「サンクロス」があり、同様に経糸、ヨコ糸に異なる糸を織り交ぜることで、独特の光沢を織り出している。
シャンブレーは厳密には、経糸には色糸、ヨコ糸には白糸を用い、霜降り調の無地織物。あらかじめ染色された糸を使って織られる、先染め織物。
コットンで織られるのが一般的だが、現在では混紡で織られるものも見られ、主にスポーティーなシャツ、ブラウスや、子供用衣料としての用途がある。
コットン・デニム
ジーンズの代名詞ともされる、綾織りの厚手で丈夫なコットン生地のこと。単にデニムともいう。
初めにフランスのニーム地方で織られたことから、サージ・ド・ニームがのちにデニムとなった。サージは45度に綾めがでた綾織生地。
一般的には、経糸に天然の藍色染料であるインディゴで染めた糸、ヨコ糸に晒糸を用いて織られる。
オーダーパンツとして仕立てられるコットンパンツとしての生地の中にも、インディゴのみでなく、多くのカラー・コットンデニムが見られるようになり、また、コットン100%に限らず、ポリウレタンを混紡することで、ストレッチ性を高めた機能的なコットンデニムや、他の化繊を混紡することで、独特の風合いを実現したコットンの良さと機能性とをあわせもつ便利な生地も増えてきています。
コットンは吸湿性が高いという性質を持つ反面、寒い時期には高い保温性をもつアパレル・衣服用素材として最も多く使われている天然素材。
コットン・スエード
木綿地の表面をケバだてて、スエードのような感じに仕上げられた生地のこと。羊や鹿などの革を油なめしによりスエード調に仕上げたセーム革を模して作られる。
密に織ったコットン生地を起毛し、短くせん毛する。
ランチコートのほか、ジャケット、コットンパンツなどによく見られる。
コットンスエードと同様に、コットン生地を毛羽立てて起毛させる素材に、コットンフランネルがある。これは、綿ネルなどといわれパジャマなどに用いられることが多い。
Pitty Savile Rowで、オールシーズン用のコットンスーツ、コットンパンツ生地としてご案内しているコットン素材も、産毛のような起毛感のあるコットン素材で、コットンスエードやコットンフランネルと似た肌さわりがある。
また、コットンベルベットは綿ベルベットのことで、ニーディック・ベルベットがこれにあたります。
コットン・コード
木綿の細い畝織り地のこと。
コットンのコードレーンのことで、縦方向にコードを埋め込んだストライプ柄。白地基調にライトブルーやライトグレーなど春夏らしい清涼感のあるストライプ地が多く、凹凸感が涼しさを誘う。
サマースーツ、ジャケットなどカジュアルな衣料に使われることが多く、大人しい色柄のものとはいえないが、夏のコットンスーツ、コットンジャケットの定番素材ともいえるほど、その知名度・認知度は高い。
この春夏のおススメは、アンコン仕立てが特徴的な、ナポリクラシコ仕様のスーツ。裏地を付けない本格的な夏仕立てとするカバーオール仕立てや広見返し、通常オールシーズン用の裏仕立てとされる背抜き仕立てなど、応用範囲も広いです。
軽く羽織る感じに着るナポリクラシコと、夏の避暑地に似合うコットン・コードとの組み合わせは、一度は試してみたい組み合わせです。
コーデュロイ
畝を特徴とした光沢のある木綿地のこと。 レーヨン製や混紡のものもある。
一般に”コール天”と呼ばれている。カントリー素材として最適であるし、最近ではジーンズに変わる素材として、街着用にも進出している。丈夫で優れた保温性を持つ、秋冬実用向きなカジュアルウエア素材。
畝をなくした"リブレス・コーデュロイ”脱色されフランスで人気を呼んでいる、”デラベ・コーデュロイ”など変化、種類も特に多い。特に畝の狭いそれを”ピンウエール・コーデュロイ"広いものを”ワイドウエール・コーデュロイ”と呼ぶ。
畝巾による呼び方には、日本独特の呼称があり、太い畝巾のものを「鬼コール」、細いものを「細コール」、中太のものを「中コール」といい、太巾・細巾おりまぜての畝巾のものを「親子コール」と呼ぶ。
太い巾をもつものは、「鬼コール」のほか、ヘリンボン柄を太巾としたものを「鬼アヤ」など。いまどきの若者にも言葉を強める強調語のように使われる「オニ」は、専門の服飾用語としてすでにある。
オーダージャケット、コーデュロイパンツなどとして特に人気の高いのが、ドイツ・ニーディック製のコーデュロイ。このニーディック社はコットン製品を初めとしたカジュアル服地について世界的に定評があり、ベルベットもそのひとつ。Pitty Savile Rowでは、このニーディック社製コーデュロイを扱っています。
※畝
編み物や織物で盛り上がって見える筋のこと。英語でウェール、リブ、コード、ともいう。
キャンブリック
リネンに似せるため、生地の片面をカレンダー加工(つや出し)した、ち密なコットン地。また上質のリネンのこともいう。
キャンブリックは、シャツ、ハンカチーフ、エプロン、シーツなどを主用途とされる高級晒や金巾(シャーティング)で、日本ではキャンブリックといえば、製織後漂白された晒のことをいうが、アメリカなど欧米では、無地に色染めされたもの、プリント柄なども多い。
カレンダー加工は、カレンダーというローラー機械で生地表面の織りを押しつぶすように平らにし、光沢を与える生地仕上げのこと。
コットン地にこのカレンダー加工をすることで、独特の光沢のある風合いを与えられたものが、このキャンブリックとなる。
スーツとの関わりでは、ポケットチーフ。
キャラコ
平織りコットン地の1種。 日本の金巾(かなきん)の俗称である。カリコ、キャリコと呼び、本来インドのカリカットなどから輸入される綿織物の総称であった。
日本ではなまってキャラコと呼ばれることが多いが、キャリコの発音が本来の読み方。アメリカではモスリンよりラフな感じのプリントしたコットン地をこの名で呼んでいる。
キャラコは、織り上げられた後、漂白・糊付けされ、カレンダー掛け(カレンダー加工)といわれる、布面をローラーで押しつぶして平面とし、光沢感を出す加工をほどこされる。
主な用途は、シャツ生地や、エプロン、ハンカチーフなど。
キャラコはメンズアイテムの中では、シャツ生地の位置づけ。近年では、クールビズの傾向から、こういったコットン素材で仕立てるシャツジャケットというものも目先の変わった夏アイテムとして目にすることも多い。
※金巾(かなきん)
27~40番程度の単糸を用いた平織りの綿素材のこと。シャーティングともいう。織り巾によりいくつかの種類があり、76cm前後のものを二幅金巾、95cm前後を並幅金巾、112cm前後を三幅金巾という。
オックスフォード
ブロードクロスよりも目の荒い平織りシャツ地のこと。 正しくは”オックスフォードシャーティング”という。
コットンで織られるシャツ生地で、2本ずつ引き揃えた斜子織りは籠の目のように見えることからバスケット・ウィーブ、ホップサックと言われています。シャツ生地としてはポピュラーなもの。
もともとは、黒っぽい霜降り縞のフラノをさして呼び、霜降りフラノ地を”ケンブリッジ・シャーティング”というのに使われていた。
また、12世紀に英国オクスフォード市に創立されたオックスフォード大学の学生が着ていた黒ずんだグレー(オックスフォードグレー)の略称でもある。
※シャーティング
シャツ用素材の総称で、織り組織や色柄の限定はないが、一般に密な組織の薄地のものを言う。
※オックスフォード・ブルー
英国オックスフォード大学のボート部部員のユニフォームにスクールカラーとして用いられていたブルー。
エジプシャン・コットン
上質のコットン地で、一般にエジプト綿と呼ばれるもの。 もともとエジプトで栽培された綿の実から作られていたことから、この名がある。
エジプトで生産されるコットンは、その綿花の全てが長繊維綿と超長繊維綿であり、薄手に織ることができる高級コットンとして、高い人気があります。
エジプシャン・コットン(エジプト綿)は、その繊維の強度において、世界でもっとも高いコットンという定評がありますが、その肌ざわりのなめらかさにおいては、同じ長繊維綿として有名なアメリカシーアイランド(海島綿)に若干劣ると言われています。
コットンは春夏向けスーツやコットンジャケット、コットンパンツの素材として欠かせないものであることは知られていますが、繊維がどれだけ多くの空気を含むことができるかで、決まる保温性でもコットンは優れているため、オールシーズン用や、アウターなどに適した頑丈な秋冬向け厚地コットンにも高い需要があります。