テリー織りと言われるパイル織物の一種で、俗にいう「タオル地」のことで、タオルクロスとも言う。
パイル織物にはループ織りをして構成される生地表面のループをカットするカットパイルと、カットせずループのままの状態で残すアンカットパイルとに分けられる。
テリークロスは、このループを両面若しくは片面どちらかをカットされていないアンカットパイルの生地表面を持つ。
テリークロスは水分の吸収力に優れているため、バスタオル、バスローブ、ループ状のタオル地を生かしたビーチウエアやカジュアルなニットウエアに用いられる。
伸縮度が高く、優しい手触りの風合いはリラックス感があるため、ホームウエア、ナイトウエアなどにも多くの需要がある織物。
織物、布地、織物の原料など、広義には繊維製品全般をさす服飾用語であるが、一般には生地などの織物とその原料を意味する。
テキスタイルはラテン語の「織る」という意を語源とし、テキスタイルデザインといえば織物を考案することとなる。
オーダースーツで用いられる生地もテキスタイルと呼ばれ、服地を扱う服地問屋や商社などにもテキスタイルの名前を持つ会社は多い。
よく有名ブランド生地を扱う会社の分類に使われる言葉に、「マーチャント」と「ミル」があり、「マーチャント」はいわゆる商社で生地問屋にあたり、広い範囲で生地を集め世界のカスタムテーラーや縫製メーカーなどに提供してくれるもの。「ミル」は、服地など織物を織り、実際にオーダースーツ用服地を作っているメーカーとなります。
規模の大きな服地ブランドの中には、商社的「マーチャント」と織物工場である「ミル」とを兼業する総合商社のようなテキスタイル会社もあります。
ハリスツイードなど自社ブランドの生地を作る織元が「ミル」、ドラッパーズのような、セレクトショップ的な商社がマーチャント。
伸縮繊維、伸縮織物の総称。 ゴムよりも軽く強度があり、染色性にも自由度の高いポリウレタン（米国ではスパンデックスといわれる）は代表的なものである。エラスティック・クロス、エラスティック・ファブリックもストレッチ・ウォーブン・ファブリックの同義。
オーダースーツ用の服地として用いられる場合、ポリウレタンなどを数％混紡することで、着心地感が増す。一般に伸縮度が低くシワになりやすいといわれるコットンなどの場合にも、このポリウレタンを混紡することで、シワになりにくく、動きやすい伸縮性を得ることができる。
特に、タイトスーツが流行しているときには、ジャケットそのものの芯地・付属を極力少なく、肩パッドなどなしのナポリクラシコのようなアンコン仕立てや、パッド極薄とするなど、着心地感を増すための工夫をすることになるのですが、素材にもストレッチ性の高いものを用いることで、大きく改善に効果がある。オーダーパンツなど、運動量の多いボトムスにも相性が良い。
また、ポリウレタンなどの化繊を混紡することなく、自然な織りのみでストレッチ効果を出すナチュラルストレッチというファブリックは、国内・舶来を問わず各有名高級服地ブランドも展開しているもの。
■絹または合成繊維を原料とする朱子織物(繻子織物)。
朱子織物は、経糸とヨコ糸の織りめをできるだけ目立たないようにして、経糸もしくはヨコ糸を生地表に長く浮かせることで、やわらかな光沢感を生み出す織り方。平織り、綾織りとともに織り方の基本とされる三原組織のひとつ。
なめらかな肌ざわりと、ゆったりとたるむドレープ性に特徴があり、サテンのほか、オーダースーツ生地としても用いられることが多い、ベネシャン、ドスキンも朱子織りで織られたもの。
朱子織りされているサテンは、華麗な光沢が特徴で、ネクタイ・スカーフなどのほかフォーマルスーツの衿、カマーバンド、スーツの裏地、ブラウスとして用いられる。
綿を原料としたものは特にサティーンと呼んで区別する。
朱子織りとされるサテンには種類が多く、サテン・グレナディン、サテン・クレープ、サテン・ゴーフル、サテン・シャルムーズ、サテン・ストライプ、サテン・チェック、サテン・ドリル、サテン・バック、サテン・フーラードなど。
目のつんだやや厚手の綾織り地。
もともとは”クレバネット・プルーフ”という防水加工された生地のことであったが、日本では転じてレインコート用のギャバジンをこう呼ぶようになった。
ギャバジンは、目を密に織られた丈夫な綾織物で、経糸をヨコ糸の倍の本数を用いて織るため、綾めが急勾配にでるが、裏面は平面な織り上がりとなる特徴がある。
通気性耐久性にすぐれた防水加工済みウール生地の商標がクレバネット。クレバと略して言うこともある。
また、ギャバジンが、ウールのみでなくコットン、合繊などでも作られ、スーツ用、コート用に用いられる生地となるため、綿クレバといえば、コットンをギャバジンのような綾織物とした、防水性をもつ生地ということになる。
主にコットンやシルク、合繊、ウールなどの強撚糸を用い、「からみ織り」で織られる織物のこと。
光沢を特徴とした薄手絹織物にも多く用いられ、ネクタイ生地として使われる。
また、グレナディンは撚糸の名称。経糸に絹糸、緯糸にこのグレナディンと呼ばれる強撚糸の綿糸を使用して織られた織物のことを、「グレナディン・サテン」と呼ぶ。主に、裏地として使用される。
お仕事用スーツにも、ネクタイ（クラバット）を合わせない、シャツのみの首元も近頃目立ちます。シルクの光沢感、ネクタイ、シャツ衿とで作る立体的な首元のファッションが、少し懐かしいと感じてしまうほど。
シャツの衿が、ドゥエボットーニや、ボタンダウン、スナップダウンなどが人気となってから、ゴテゴテしすぎて、ネクタイ要らずになってしまっている感じも否めません。
ドット柄、ストライプ柄、ソリッドタイなど、ちょっと見直してみたい感じですね。。
帆布などに用いられる組織の密な厚手平織り地。
コットン、リネン(亜麻糸)、合繊繊維などの太番手の糸から作られる。
俗に「ズック」と呼ばれるのはこれであり、キャンバスの別称「布」をあらわすオランダ語の”ダック”がなまったもので、もともとはリネン製。
「ズック」「ダック」「キャンバス」はどれもが、厚手平織り地を意味する言葉として、いろいろな場面で使われるが、明確な区別があるものではない。
「ズック」といわれる場合、カバンや運動靴に用いられる、綿、麻の布地を意味する言葉として使われることが多い。
キャンバスはその他、テント、シート類、スニーカーなどにも用いられる丈夫な織物。帆布はそのままキャンバスの日本名となっている。
生まれて５ヶ月ほどの仔羊（ラム）の毛から作られた。 柔らかで良質の織物または毛糸。スーツや、ジャケット、セーターに多く用いられる。
この秋冬シーズン掲載の、イタリア・オルメザーノ社製のフラノは、ラムズウール１００％。オーダージャケットやスーツとしてお仕立ていただくことが多いのですが、単品のオーダーパンツ・フラノパンツとして仕立てるととても暖かでおススメです。
パンツデザインなどもオーダーなら豊富。ちょっとしたアクセントに、バックストラップを付けてみたり、後ろポケットをフタ付きにするなど、バリエーションも豊富です。
単にラムという場合、その仔羊からとられる毛皮のことを意味することも多く、多くのラムが毛皮として用いられているが、その中でも有名なのが、カラクール種の羊。中央アジアや中国で多く生産される羊で、チッキアン・ラムを産する。
カラクールには、ロシア語で「黒い湖」、同名の地名がロシアン・トルコにある。
ラムは一般に、黒・茶・白色をした光沢感があり、柔らかく・薄い。短めの毛が波状になったもの。
ファンシーヤーン（意匠撚糸）の１種で、異なる色の単糸を２本または３本拠り合わせて作られたもの、交撚糸。使う色糸の数によって３杢、４杢などと呼ばれる。
オーダースーツ、ジャケットに用いられる杢調柄には、この杢糸を用いて織られたもののほか、後染め・先染めによって同様の杢糸効果を出したものがある。
杢糸柄は、色の微妙な濃淡が特徴的、優しい風合いのある織り上がりで、白色を浮かせたような比較的明るめの色柄の素材に用いられることが多い。フォトショップでいう、フィルターの雲模様に似た見た目、織り色のムラを人工的に作ったもの。
英語ではツイストヤーンといい、左撚りをZツイストと呼ぶ。ツイストは「糸の撚り」のこと。
アンゴラ山羊から作られる、金属的な光沢のある平織り梳毛地。長い間トルコのみで使われてきた織物ですが、１８世紀以降、南アフリカや、アメリカをはじめ他の地域にも広まるようになりました。。
絹をしのぐほどの光沢感があるといわれるモヘアは、その軽さや通気の良さからサマーマテリアルの代表的なものとして、夏物のスーツ、ジャケット、夏季のフォーマルウエアによく用いられる。
モヘアはそれぞれの素材がもつ長所を生かすため、羊毛、コットン、シルクなどと混織するブレンド素材としても人気がある。特にオーダースーツ用の服地として多いモヘア混素材は、ウール８０％に対してモヘアが２０％混などは、ウールのしなやかな弾力性・シワへの回復力の強さと、モヘアの太い繊維のための通気性の良さ、夏に光沢感の良い所をブレンドしたもの。その混紡率によって、生地表の風合いも異なります。
キッドモヘアは、モヘアの中でも生後３ヶ月程度の仔山羊から取られる糸から織られたもの。一般のモヘアより柔らかく、より高値で取引されています。
メリノ種の羊。 または、その羊毛で織り上げられた梳毛織物のこともいう。メリノ羊はスペインを原産地とする羊で、非常に繊細で良質の毛がとれることで有名。
羊毛（緬羊）は、元来黒色もしくは褐色だったため、衣服の素材としては適さなかったものを、長い年月の品種改良のための交配を繰り返し、白色の羊を作り出すことに成功したのが、このメリノ。
羊は古くから、緬羊（毛を刈るための羊）として、飼育され、同時に品種改良が行われきており、その種類は現在３０００種以上、およそ１１億頭が飼育されていますが、衣料用羊毛として普及したメリノは、衣料用として用いられる羊毛全体のうち、およそ４５％を占めています。
メリノ羊毛は、オーストラリア産羊の代名詞とされるほど、その産出量も多く、品質はしなやかで毛の色は白、高級服地としてアパレル用の織物やニットに使用される。
オーダースーツ用の服地としても、メリノ種はひとつのブランドとしての認知度も高く、高級ウーステッド地として用いられる、スーツ、ジャケット、パンツ・スラックス用の素材として高い人気がある。
織り目がつんでいるにもかかわらず、ビロード(ベルベット）のような感触が特徴の、柔らかく、ケバのある紡毛地の１種。ベロアの語源は、ベルベットを意味するフランス語になる。
もともとは、パイル織り、また繻子織りのしっくりとした光沢をもつ厚手織物のことをいったが、紡毛織物を起毛してベルベットのような風合いをだすことを”ベロア仕上げ”と呼び、ジャケットやコート地に多用されるようになった。ベロア仕上げは紡毛地の加工方法。
また、ベロア（ベロア仕上げ）には、他に長い毛羽を特徴とするブラッシュのようなパイル織物、パイル編みされたニットのループをカットすることで、ビロードのような毛羽をだした、ニット・ベロアなどの種類がある。
絹のみをベルベットとするなら、他の素材で作られたベルベット調パイル織りの素材は、すべてベロア仕上げをされた織物となってしまうのが微妙なところ。
オーダースーツ Pitty Savile Rowの秋冬の人気素材、ニーディック・ベルベットは、主にコットンで作られているベルベット素材。高級感たっぷりなリッチな肌ざわりです。
※パイル織り
織物の片面または両面にループを織り込んだ織物、組織をいう。ループのことをパイルといい、パイルをカットしたものをカット・パイル、そのままのものをアンカット・パイルという。ビロード、別珍、コーデュロイ、タオルなどがある。
本来は、絹で作られたビロード（パイル織物・パイルを作り、そのパイルをカットすることで毛羽立ち感のある生地表面を作る）のことを意味するが、アセテートやレーヨンなどの繊維も使われることがある。
濡れたような光沢を持ち、スーツや、ジャケット、ドレッシーなパーティウエア、装飾的なアイテムなどに用いられる。
種類としてはアンカットベルベット（パイルのループを切らずそのままとしたもの）、エンボスベルベット（型押しベルベットのことで、立体的な浮き出し模様のあるエンボス加工を施したもの）などがある。
現在オーダースーツ Pitty Savile Rowでご案内している、ニーディック・ベルベットはその素材がコットンとなるため、正しくは綿ビロード、別珍（べっちん）となるのですが、パイル織りされた織物を総称するベルベットに含まれるものとして、一般的にはベルベットと同じように扱われます。
サテンのような感じの重ね繻子織りの生地で、光沢のあるなめらかな手ざわりに特徴がある。 梳毛糸で織られることが多いが、コットンのほかポリエステル、レーヨンなどで作られることもある。
主にスーツやジャケットなどに用いられるほか、コートや遮光カーテン、黒無地のものはフォーマルウエアとしても用いられます。
薄地で目つまりが良く、引き締まった風合いの生地となるが、そのテロっとした光沢感は、オンビジネスで着用するスーツとしては、クラシコスーツ、ブリティッシュスーツなどクラシックばやりの現在には、相性の悪いところも多く、どちらかといえば、その光沢感、ドレープ性のある生地感は、オーバーサイズで着用する色鮮やかなバブル期のスーツに多く見られたもの。
ベネシャンの名前の由来は、イタリアのベニス（ベネチア）にちなんでいます。
ツイードと並んで、紡毛地を代表する織物のこと。 平織り地をフラノ仕上げ（縮絨・起毛・剪毛・圧絨）といわれる起毛仕上げを施しているため、生地表にケバをもつ、やわらかく、暖かいタッチが特徴となっている。
フラノは、フランネルと呼ばれる紡毛織物のなかで、特に洋服地に用いられる厚地織物の俗称のため、広くは"フランネル”に含まれる紡毛織物。フラノは後ろ半分を省略した呼び方に”ネル”があり、共にフランネルのことをいう。
オーダースーツ Pitty Savile Rowでも、秋冬のカジュアル定番素材としてご案内している、イタリア製オルメザーノ・フラノは、生後５ヶ月の子羊（ラム）からとれるラムズ・ウール１００％のフラノ素材。オーダースーツ、オーダージャケット、フラノパンツ、スリーピーススーツなど、多くのシーンでご着用いただいていおり、クラシックリバイバルの影響からか、フランネルの、特にスーツで人気です。
※紡毛織物
紡毛糸（粗雑で短い羊毛繊維を主体とした糸）を用いた織物のこと。ウーレン・ファブリックという。縮絨（しゅくじゅう）、起毛した厚地織物が多く、フラノ、メルトン、ツイードなどが代表的。
正確にはビエラフランネルであり、フランネルの１種。梳毛糸と綿糸を交織して作られる綾織りの薄地織物で、軽く起毛させているため、独特の柔らかみが出る。メンズの高級カジュアルシャツや、カントリーライクなシャツなどの生地として用いられる。
フランネルは、経糸・緯糸とも紡毛糸を使用して平織りや綾織りされた後、縮絨加工される紡毛織物（ウーレン・ファブリック）。英国ウェールズ地方を発祥の地とし、ウェールズ語でウールのことを「グラネン」→（フランネル）と呼ぶことに由来している。
フランネルには綿糸で織られた「綿ネル」と区別するために、「本ネル」「英ネル」という呼び方もあります。
スーツ用など服地に使用される厚地のものを「フラノ」、ビエラフランネルは、素材構成などフランネルとは異なるものですが、そのソフトなタッチなど素材感が似ていることから、フランネルの一種とされています。
「ビエラフランネル」は、もとは英国ウイリアムホーリンズ商会の商品名。
スペインを原産としたメリノ種の羊毛の梳毛糸をななこ織りを変形して織り方で織り上げたした生地で、破畝（やぶれうね）、バラシャなどとも呼ばれる。
バラシア組織といわれるひし形模様を生地表面に浮き出させた織物。
ななこ織りは、「七子織り・斜子織り・魚子織り」などと書き、読ませる、籠の目のような平織りの織物で、その織り上がりは、ざっくり柔らかめな風合いとなるため、夏用服地に多く用いられる織り方。
ホップサックやバスケット・ウィーブと同じ。
バラシアの多くは黒またはグレーでネクタイや夜間向きのフォーマルウエアのほか、スーツ、パンツに用いられる。
サマースーツ用の平織り地として使用される梳毛織物（ウーステッド・ファブリック）で、単にパームビーチとも呼ばれ、日本ではパンピースとも言われる夏用服地。
トロピカル同様、織りが粗く、さらっとしているため夏のメンズスーツ服地やレディーススーツ用にも用いられる。
タテに綿糸、ヨコにウールを用いて織られる。アメリカのパームビーチ社の商標登録名である。
混紡することで、コットンの吸湿性や通気性の良い所と、ウールの回復力、しなやかさのどちらの長所も併せ持つブレンド素材となっている。いわゆるコットンウール素材で、そのほか夏服に多く使用されるブレンド素材には、吸湿性にすぐれたシルクと混紡されるシルクウール、リネンと混紡されるもの、シルク＋コットン＋ウールをあわせた三者混紡のブレンド素材などもある。