フォーマルスーツ・礼服
インフォーマルスーツ
昼、夜それぞれに正装として着用されるモーニングコート、
イブニングコート(燕尾服)や、準礼装として着用される
タキシードやディレクターズスーツに対して、
簡略化したフォーマルの意味合いをもつ半礼装に
使われます。
一般的には、濃いめのネイビーやグレーの生地で
仕立てられたダークスーツや、略礼服として着用される
黒の礼服地を使用したブラックスーツなどが、
インフォーマルスーツとされていますが、
よりカジュアルな装いのアイテムをさす場合もあります。
これら、非公式・略式に着用される「インフォーマル」に
対して、モーニングコートやイブニングコートを、
「モーストフォーマルスーツ」、タキシードやディレクターズスーツを
「セミフォーマルスーツ」と呼ぶ場合もあります。
略礼服
祭事仏事等、おめでたいことにもご不幸にも多くのシーンで
見られる黒い生地で仕立てられたスーツ。
ご結婚式やイベントなど華やかなフォーマルの場面では、
同じ黒色の生地でも光沢感のあるものが好まれ、
仏事や兼用で作られる場合には、光沢感は抑えめのもの
が選ばれます。
いわゆるブラックスーツで、春夏シーズンには、
近年、シングルの2釦の上下スーツで仕立てられる方も
多くなってきていますが、ベスト付きのシングル三つ揃え
のものやダブル6釦2掛のフォーマルスーツが、
用いられることが多いです。
黒生地で仕立てるほか、色の濃いネイビーや、ダークグレー
の生地で仕立てられたダークスーツを略礼装、インフォーマル
スーツとして着用する場合もあります。
フロックコート
昼間の正礼装として用いられた礼服のこと。 ダブルブレステッド6つボタン、膝までの長い丈、拝絹がかけられたピークドラペル、胸にウエルトポケット、ウエストシームと特徴としている。これに黒白の縞ズボンを組み合わせる。しかし、近頃ではこのコートの前裾を切り落として生まれた”モーニングコート”に昼間の第一礼装としての価値が認められ、使われることはほとんどない。
モーニングコート
昼間の正装として着用される礼装、フォーマルスーツ。 本来はフロックコートが第一礼装であったが、それに代わって普及している。前裾が大きくカットされ(カッタウエー)、後身のテールはヒザ丈、スリークォーターレングスの丈、2つ釦のついたセンターベント、シングルブレステッド1つボタン、衿はピークドラペル、胸にウエルトポケット、ウエストシーム(ウエストの継ぎ目)を特徴とする。
このフロックコートの前裾をカッタウェイしたシルエットから、イギリスではカッタウェイコート、アメリカではカッタウェイと呼ばれています。
トラウザースは黒灰の縞ズボン(コールパンツ)にする。ベストは普通、黒の礼服地で作られ、結婚式の場合、花婿がグレーフランネルのものを使うこともある。
生地は黒のドスキン、カシミヤられることが多かったが、現在では毛羽立ちが少ないもしくはないタキシードクロスで仕立てられることが多い。
日本では、ブラックスーツ同様、黒生地で仕立てられたフォーマルスーツを礼服の万能着と解釈して、昼間に引き続き夜間も着用することがあるが、夜間の正礼装は燕尾服(イブニングコート)となるため、慎まなければならない。なお、イギリスではアスコット競馬場での正装としてグレー地のスリーピーススタイルに仕上げてグレートップハットをかぶることがある。
※ウエルト・ポケット
ウエルトは<縁飾り>の意で、ポケット口に飾りの口布のついたスリット・ポケットのこと。一般に箱ポケットといわれる。
ブラックスーツ
黒の背広の総称だが、特にインフォーマルウエア(略礼服)として用いられるドレッシーなものをさすことが多い。日本では、この黒いフォーマル用素材で仕立てられたスーツがフォーマルスーツとなり、冠婚葬祭・慶弔禍福全てのイベント、式典に着用される衣服となっています。
ブラックスーツは、はタキシードクロス、カシミヤドスキン、上質のウーステッドなどフォーマル用素材で仕立てられアクセサリーズをうまく合わせて、昼・夜のかしこまらない礼服として着られる。
かつてはピークドラペルでシングルブレステッド1ボタンや、ダブルスーツで6釦2掛けといった上着をよく用いたが、現代的にもう少しかしこまらない程度のフォーマルという意味では、ノッチドラペルでシングルブレステッド2ボタン型のスリーピーススーツで十分である。ベストを替えたりアクセサリーズを変化させて、さらに用途が広まります。
※ドスキン
製織後、縮絨(しゅくじゅう)、起毛、剪毛、ブラッシングの工程を経て仕上げられた(ドスキン仕上げ)光沢のある厚地織物。
現在ではケバが少ない、またはケバがないタキシードクロスがフォーマル地の主流となっています。
ディレクターズスーツ
昼間の準礼装として用いられる礼服のひとつ。
黒のダブルブレステッドやシングルブレステッド、ピーク衿のジャケットと、モーニングコート用の黒白の縞ズボン(コールパンツ)を組み合わせたフォーマルウエアのこと。
モーニングコートほどかしこまらず、日本的略礼服であるブラックスーツほどくだけない感じから新しいフォーマルスーツとして1990年代に商品化されたものになりますが、現在あまり見ることがありません。
やはり、モーニング的な感じがぬぐえないのと、よりイージー性を求める現代人の感覚にマッチしないせいかもしれない。
オーダーで仕立てるフォーマルスーツとしては、トラウザースが、モーニングと同じコール地で仕立てたパンツ、ジャケットはブラックスーツと同じ黒生地ジャケットで仕立てれば良く、フォーマルのイベントで来賓として出席される立場の方に是非ご用意いただきたいフォーマルスーツです。
※ブラック・スーツ
ブラック・タイからきた造語。セミフォーマル用の男性の背広。黒または黒に近い濃紺で、オーソドックスなデザイン。小物やネクタイの選択により結婚式や葬式に着用する。
テイルコート
燕尾服のこと。
アメリカで一般的に用いられる言葉。略してテイルスともいう。スワローテイル、イブニングコート、テイルコートはすべて同じ。
フォーマルスーツの中でも夜の正礼装となるテイルコートは、6釦3掛のダブルジャケットをボタンを止めないで着用し、ウエスト位置でほぼ水平にカットされた前カットから後ろ裾にかけて燕尾のように長くなっているデザイン。この後身のみ長い着丈が燕の尾っぽのように見えることからスワローテイルと呼ばれ、燕尾服はそれを直訳した日本名となる。
燕尾服で用いるトラウザースは、ジャケットと同じ生地で作られ、脇に側章と言われる飾り帯が付けられます。
現在燕尾服は、着用される機会がとても減っており、夜のパーティー、イベントなどには準礼装となるタキシードが現代的な夜会服として多く着用されます。
ディナージャケット
タキシードのイギリスでの呼ばれ方。
燕尾服(テイルコート・イブニングコート)をフォーマルスーツの正礼装とした場合、タキシードは準礼装となる。
シングルまたはダブルのジャケットにショールカラーやピーク衿のジャケットで、衿表にはフェイシングシルク、パンツの脇に側章が付けられることが多い。
タキシードはアメリカでの呼ばれ方で、フランスではスモーキングジャケットとなる。イギリスのディナージャケットを「タクシード公園クラブ」のユニフォームに採用したことから名づけられたことでもわかるように、名称の上ではディナージャケットの方が先輩にあたる。
もともと、燕尾服の後ろ裾を切り落とすことによって誕生した、略礼服だといえる。テールレスイブニングの別称はここに由来してる。
燕尾服が着られることが少なくなった現在では、もっとも現代的なフォーマルシーンに似合う、礼装ということができるもの。
タックステイル
タキシードとテイルコートを一緒にしたような感じの、新しいタイプのフォーマルスーツ。タックスはアメリカで使われているタキシードの略語のこと。テイルはテイルコート(燕尾服、イブニングコート)に由来する。
タックステイルは、フォーマルウエア専門メーカー「アフターシックス社」の登録名称である。
燕尾服はフォーマルウエアの中でいわゆる夜の第一礼服・正礼装とされており、タキシードはそれに準ずる準礼装・半礼装となるもの。近年では、燕尾服が着用されるシーンが減ってきており、タキシードがその代用として用いられるイベントが多くなっている。
燕尾服、タキシードとも衿表に拝絹(フェイシングシルク)をもつ、夜会服。変わり織りとなる生地で仕立てられたファンシータキシードなどもあり、パーティー、イベント用のフォーマルスーツは、その選択肢が広まってきている。
タキシード
夜間の準礼装・半礼装として用いられるフォーマルスーツのこと。
タキシードはアメリカでの呼び方で、イギリスでは同様のものをディナージャケット、フランスではスモーキングジャケットと呼びます。
ダブル、シングルブレステッドの両方があるが、多くはシングルで前1つボタン。衿はピークドラペルまたはショールカラー(へちま衿)で拝絹(フェイシングシルク)を伴っている。
トラウザースはジャケットと共地で仕立てられ側章を1本飾る。裾の折り返しはつかない。ドレッシーなホワイトシャツ、黒のバタフライボウ、カマーバンド、スタッドなどを、そのアクセサリーズとしている。生地は黒または濃紺のカシミヤ、ドスキン、ベルベット、チェビオットなどを用いる。
もっとも現代的な礼服、社交服と呼ぶことができ、デザインや生地の変化も多い。変わったデザインや生地で仕立てられたものは、ファンシータキシードと呼ばれる。アメリカはニューヨーク州オレンジカントリーにある「タキシードパーククラブ」のユニフォームとして19世紀の末、決定されたことに名称が由来する。
ちなみにパーティの招待状に「ブラックタイで・・」として指定があればタキシード着用、「ホワイトタイで・・」の場合は燕尾服の着用をそれぞれ意味する。燕尾服は夜間の正礼装となります。
※カマーバンド
男性がセミ・フォーマルに使う、横にひだ取りが入った、後ろ留め式の幅広の布ベルト。サッシュ・ベルトの一種。拝絹でつくり、色は黒が中心。中近東でみられる巻き付けの飾り帯をまねしたもので、カマーバンドとはヒンディ語の<腰ベルト>意味。
スワローテイル
燕尾服のこと。 現在のフォーマルスーツでは、夜の正礼装として位置づけられており、テイルコート、イブニングコートなどとも言われる。
前身ウエスト位置からほぼ水平にカットされ、後身かけて尻尾のように長く背丈が伸びている形が、ツバメの尾のようであるところからの名前で、日本語訳燕尾服はこのスワローテイルをそのまま訳したもの。
6釦3掛ジャケットの前釦を止めないで着用し、衿表にはタキシードと同様のフェイシングシルク(拝絹)、パンツはディレクターズスーツ、モーニングなどと異なり、ジャケットと共生地を用い、脇には側章という飾りテープが付けられる。場合によっては、フェイシングシルクが付けられる場合もあります。
知っておきたい礼装用語としては、ホワイトタイ(白い蝶ネクタイ)着用とイベント等の招待状にあれば、燕尾服での着用を主催者が促しており、ブラックタイ(黒い蝶ネクタイ)ならタキシード。
それぞれの礼装に合わせるネクタイを示すことで、当日のドレスコードを指定する隠語。