衣服素材
ビスコース
ビスコースは、優れた吸湿性と滑らかな肌ざわりがある
ことから、海外でスーツやジャケットの高級裏地や、
下着類として用いられる素材。
レーヨンを製造する際にできる中間の生成物で、
パルプを原料とし、水酸化ナトリウムを使用してできた、
アルカリ・セルロースを、二硫化炭素で硫化した、
セルロース・キサントゲン酸ソーダからできる水あめ状の溶液。
これを酸性の紡糸浴中に押し出し、繊維状にします。
このビスコースは同じように裏地として使われる「キュプラ」と
同じ再生繊維の一種で、オーダースーツでは人気の高い、
リアブラウン&ダンスフォード社のファンシーライニングにも
多く取り入れられている素材になります。
ウィンター・コットン
オーダーメイドでも春夏用のジャケットやスーツ
の素材として扱われることが多いコットンですが、
このコットンの熱伝導率の低いという生地の特徴は、
衣服内の熱を放出しづらくしてくれる保温効果を持つため、
逆に秋冬シーズンには、暖かさをもたらしてくれる
ウィンターコットンとして使われています。
衣服の保温性の高さは、その繊維内にどれだけ
多くの空気を取り込むことができるかで決まります。
コットンの繊維構造は、チューブのような中空構造を
しており、この保温効果を生み出す繊維構造に加え、
より多くの空気を含むことができるよう、布地に
ブラシをかけたような起毛感を出したり、パイル状に
製織したりすることで、秋冬向きのコットンが作られます。
レース
レースは透かし模様を総称する服飾用語で、その種類・範囲はとても多く、歴史も古い。
一般には紐、また、すかし模様のある目の荒い編み物のこと。
1本の糸または数本の糸を撚り合わせたり、組み合わせたりして模様を形成する。機械編みレースと手編みレースの種類がある。
透かし模様となるレースの作り方では、糸を結んでレース編みとするノッティド・レース、鈎針で編むクロッシェレース、ねじって絡ませて編むボビンレース、針でかがるニードルポイント・レースなど。
レースの語源はラテン語の古語「ラシ」から。フランス語では「ダンテル」ドイツ語では「カンテ」。英語で針目を意味する「ポイント」、イタリア語のプントはレースの同意語。
フリース
ユニクロ躍進の原動力となったといってもいい「フリース」の素材は間違いなく火が付けば大やけどしてしまいそうな合成繊維ですが、本来は、羊の毛を刈り取ったばかりの1枚のシートの状態や、紡績工程にある薄いシート状の繊維のことを意味する、羊毛のこと。
普段はスーツを着てする仕事でも、軽作業的なものをするときには、ジャケットの代わりにもなり、軽くて暖かでしかも動きやすいなど。おじさん的には子供のころ大流行したダウンベストの感覚に近いものです。
ユニクロがブレイクするキザシを見せ始めたまだはじめのころは、色違いの同じような商品ばかり販売している面白くない店というのが印象。
同じ色柄で、衿が付いていたりいなかったり、クルーネックがブイネックだったりと。しかし、当時から品質は良いものだったように思います。
ユニクロで一番のおススメは靴下であると、今でも思います。
バックチェック
裏地にタータンチェックなどがある生地の総称。 裏地にチェック柄を用いた衣服のことで、正確にはバックチェックドクロスである。
コート地によく見るもの。
タータンチェックのほか、ギンガムチェックなど、チェック柄の裏地をもつコート、ジャケットなど衣類の状況をバックチェックという。
また、タータンチェックは正確にはタータン・プラッド(プレイド)といい、チェック、プラッド(プレイド)ともどちらも格子柄のことをいうが、チェックが碁盤状に地織りと縞が同じ面積を占める格子柄なのに対して、プラッド(プレイド)は単純に線で縦横に構成された格子柄のことをいう。
バックチェックはコートの他、ジャケット、ブルゾン、ジャンパーなど比較的カジュアル色の強い衣服に多く見ることができるもの。
チェックバック
リバーシブルコートなどにみられる両面仕上げの生地で、裏が格子柄になっているものの総称。ジャンパー、ブルゾンなどにも見られ、ギンガムチェックなど用いられることが多い。
チェックは縦と横の縞の地の割合が同面積となる格子柄のことをいう。同義にプラッドがあるが、これは格子縞といわれるものでチェックが線構成となっている。
スーツ、ジャケットの場合にはあらかじめ両面仕上げで仕立てるということはないが、スーツがお父さんの一張羅的外出着だったころには、表生地が傷んでしまうと、裏地に隠れていたため傷んでいない裏側をひっくり返し、作り直すということをしていたらしい。
生地が高価だったころの話。今では、スーツを裏返して縫製する技術を持つ人も少ないし、仮にできたとしてもどれだけの直し料がかかるかわからない。よほどの思い出の品以外にはすることはないと思います。
新しく新調してしまったほうが安上がりな気もします。
タクタイル・インタレスト
触感の面白さといった意味で、手触り感の変わった生地についていう用語。単なる表面効果(サーフェイスインタレスト)に触覚の要素が加わったもので、現代ファッションのポイントのひとつとされている。
パイル織りをそのまま生地の表面としたコーデュロイやビロードのようなアンカット・パイル、ループとなっているパイルをカットしたカット・パイルでは、おのずと生地表面や触感なども異なり、シアサッカーなどに代表されるバッカークロス、経糸、ヨコ糸に浮き糸を使って布面にひし形などの凹凸感を表現する蜂巣織りなど、生地感に大きな特徴をもつ織物の種類は多い。
タクタイル・インタレストは、こういった生地感に特徴のある素材をファッションを構成する一要素として考える、感覚的なもの。
スーティング
スーツを作るのに適した素材の総称。 狭義の意味では、あらかじめスーツ用として織られた生地のことをさし、広義の意味ではスーツ用として使える可能性のある生地全般をさす。
スーツ用の服地ということでは、非常に範囲も広く、オーダースーツ Pitty Savile Rowでの扱い生地も種類が豊富。
ビジネス用のスーツ用服地では、国産生地をはじめ、高級服地といわれる舶来服地。ブランド名では、英国製ダンヒル、ドーメル、イタリア製ではゼニア、ロロピアナ、カノニコといったところが代表的なところ。
主にはジャケットとして用いられることが多い、ハリスツイード、ドネガルツイード、ベルベットなどカジュアル素材のほか、スーツとしても用いられる秋冬シーズンではフラノ、コーデュロイ、春夏シーズンではコットン、リネン・麻など、どれもがスーツ用素材。
ビジネス用スーツもカジュアルスーツも共に、耐久素材としての強度を求められるが、そのなかにも光沢感、色柄、質感などがスーツを仕立てる際に適した素材とされる要素となる。
シレ
ナイロンやシルクなどのように、つやつやした光沢のある生地を形容する言葉。フランス語で「ろう引きした、ワックスで磨いた」の意味。ウエットルックと同義に用いる。
人工的にツヤだし加工をした生地も近年は人気があり、オーダースーツ素材でも用いられることが多い。結婚式やイベントなどのフォーマル用などに見られる。
いわゆる布面につやを出し光沢を与える、ツヤ出し加工といわれるものには、カレンダー加工といわれる布面を平滑にすることで、光沢感を与えるもの、シルケット加工など薬剤により、その効果を得るものの他、コーティング加工、剪毛や毛焼きなどによって毛先を整え、光沢感を得るものなどがある。
オーダースーツでは、チンツ加工という鏡面加工された服地が多くの素材メーカーから提供されており、ダンヒル、ゼニアなど高品質な高級服地の自然な光沢感とはまた異なるテラテラした光り具合が目を引く素材。
シャーティング
シャツを作るのに適した素材の総称。
織りや色柄に決まりがあるわけではないが、一般的には密に織られた薄地のもの。
シャツの概念がいささか広くなり、使われる素材も増えてきているが、一般的にシャツ生地として使われるもののほか、ブラウス、シーツなどにも用いられている。
シャツ生地の代表的な織りには、ブロードクロス、ローン、シャンブレー、ツイル、エンドオンエンド、オックスフォードクロス、ダンガリー、ドビー、ジャカードなどがある。
金巾と同義。27~40番手程度の単糸を用いて織られた平織りのコットン生地で、織り巾により、二巾金巾、並巾金巾、三巾金巾などの種類があり、二巾金巾は生地巾76cm前後、並巾金巾は95cm前後、三巾金巾は112cm前後の生地巾で織られたもの。
コーテッド・ファブリック
塗られた素材の総称。 防水などの意味から、化学的塗装加工の目的で塗られるもの。コーティング加工。
ウエットルックなどのファッション的な意味から、濡れたような表面感を出すウエットクロスのようにわざと光沢を持たせることもある。
ナイロン・コーティング・ジャンパーといった使い方がされる。
防水加工は、水も空気も通さない加工という意味だが、現在オーダースーツの服地としても春夏のスーツ素材として多く用いられる、撥水加工(ウォーター・プルーフ)を施されたハイテク素材は、雨や飲食物の食べこぼしなどを防ぐ便利な加工。
撥水加工された服地の上に、水滴を試しに落としてみると、水分をきれいな水玉にしてはじきます。
水も空気も通さないコーテッド・ファブリックは、主に雨具などに用いられるための素材となるため、服地には適さない。
コーティング
コートを作るのに適した素材の総称。-ingを使ってもコートを作る作業ではないことに注意。
近頃ではあまり見なくなったウールコート。昔はスーツ生地でコートを仕立てるという人も多く、その生地選びはやはりスーツに適したもの、コートに適したものということで分けられる。
オーダーで仕立てたコートは芯地・付属がしっかり入るので、長持ちはするが重いということをよく聞きました。
中でもおススメなのが、カジュアルジャケット用素材で仕立てるコート。例えばハリスツイードだったり、ドネガルツイード、フラノ、コーデュロイは、中にスーツを着るアウターとしてもオーダーで仕立てたものなら、お仕事用ドレスコードにも大丈夫そうです。ロングジャケット、半コートも今どきのトレンド。
また、コーティングクロスといえば、コート用に向いた素材とするために、コットン、リネン、混紡素材などの生地表面に防水、補強目的でオイル、合成樹脂などを塗布加工した素材となる。
クロス
「服地、反物、布片、ラシャ」など、衣服材料全般を意味する。
ファブリックや布地とほぼ同様の意味で用いられているが、織物、ニット、フエルトなどの中でも特にやや厚手のウール素材をさすことが多い。
オーダースーツ用に用いられるいわゆるファブリック、オーダースーツ用生地もクロスに含まれる。生地問屋など古くからラシャ店などと言われていた。
また、衣服材料以外のテーブルクロス、絵画用のキャンバスなどその用途に特化した布片を意味することもある。
複数でclothsになると布片の意味では”クロッシス、クロージズ”といい布の数種類の意味では”クローシス、クロージズ、クラッシス”となる。また、clothes(クローズ)は「服・着物」などの意味であり、アメリカで多く使われている。イギリスではクロージングという言葉はあまり使われず、”クロージズclothes”がもっぱら先行している。クローズとガーメントは同義。
※羅紗(ラシャ)
経緯(たてよこ)とも紡毛糸を用いた厚手の織物で、縮絨(しゅくじゅう)、起毛してけばをだしたものの総称。ポルトガル語のraxa(毛布)からきた名称で、ヨーロッパでは毛皮の代用品として使われていた。
オーガンジー
細い番手(糸の太さを表示する方式のひとつ)の木綿糸、ナイロン糸などで織られた平織り地。やや堅く張りがあって、半透明の感じのごく薄地になっている。
単純な織りで、縦糸×ヨコ糸を交互に1本ずつ織りあわせる。
メンズ素材としては、シースルールックのシャツなどに用いらるほか、ウェディングドレス、ブラウス、造花を作る材料にも使われています。
元来、コットンで軽く透けて見えるほど薄く織られた、ガーゼのような平織物のことをいいましたが、現在ではポリエステルやレーヨンなどの化繊や、絹などでも作られ、特に区別して「オーガンザ」と呼ぶ場合もある。
硫酸処理(スイス仕上げ)がほどこされるため、オーガンジーの生地には独特の張りと光沢感があります。
※シー・スルー
服を通して身体がおぼろげに見えること。
エターミン
アパレルで用いられるエターミンの多くは、甘撚り糸を粗く織ったウールの平織り地であるが、綿、麻、絹などを用いて織られることもある。
エターミンは、フランス語「エタミーヌ」の英語読み。
糸の撚りは、その用途によって少なくかける場合と、多くかける場合とがあり、エターミンを織るための甘撚りは、ゆるくかける織りのため、その仕上がり感は柔らかいものとなる。
逆に「ポーラ」「フレスコ」など夏定番のスーツ地は、強撚糸を用い、薄くても強い平織り地。
撚りはその強弱によって、糸の強さ、はり感、光沢感などに差がでます。
「ふるい・網状の織物」を意味するエターミンの用途は幅広く、特に透け感のある夏物衣料、オーダーで用いられることのあるジャケット素材としてのほか、ドレス・シャツ・スカートなど。
旗や腰布に使う、薄い平織りコットン地としても使われ、この粗末な素材にプリントをのせて「プリントエターミン」と呼び、ファッション素材として扱うことがある。
アドミラルティ・クロース
アメリカ海軍用として使われるメルトン地。 アドミラルティは「海軍本部」の意味である。
また、ネイビークロスといえば、海軍のユニフォーム用に用いられる布地の総称で、紡毛織物が多く、色は紺色をしたものが多かったため、ネイビー・ブルーの語源ともなった。
もと海軍用アイテムの中でも、ピーコートはオーダースーツとも馴染みが深い。色はやはりネイビーブルーが基本。水兵や船員が風の強い甲板で着用していたもののため、左右打ち合わせのダブルジャケットは、どちらからの強い風にも対応できるように、打合せを逆にできるようになっている。
また、ジャケットフロント部に、左右から手を入れて暖めることができる、切り口が縦のハンドウォーマーポケットが付いている。
パイロット・コート、ウォッチ・コート、キャバンともいう。
このピーコートは、メルトン地で作られており、現在カジュアルな街着、冬の防寒着としても愛用する人が多い。
アップホルスタリー
アップホルスタリーとは「室内装飾品」のこと。 ベッドカバー、椅子カバー、カーテン地、ソファー地などを衣料材料として使う場合に用いる。インテリア素材と呼ばれることもある。最近のビッグルックの影響から再び見直されている。
フランスでは特に”ウース(ウス)”の名前で呼ばれている。ウースはフランス語でいうところの、「家具などのカバー」のことを意味しており、「ゆったりした・豊富な」を語源とする「アンプルライン」と同義。家具にかけるカバーのようなゆったりしたシルエットのことで、ローブ・ウス(ゆったりしたシルエットのドレス)などのように使う。
現在のカジュアル衣料において、アップホルスタリーに含まれる衣料素材の用いられ方は多く、表地に使われるほか、ワンポイントとしてのアクセント、裏地などに見られる。独特の素材感やドレープ感を楽しむ。
※ビッグ・ルック
サイズの大きい服の着こなしや、ギャザーやタックなどをたっぷりとったデザインによる、ゆとりが多くだぶだぶした感じのスタイルのこと。1970年代中ごろに流行した。