パンツ・スラックス
カーキパンツ
経糸に18番手以下の太糸を使用し、綾織りとした
ドリルをカーキ色に染色した厚手な綿綾織物を使って
織られた丈夫なパンツ。
もとは、第二次世界大戦に従軍した若者が
その復員後に着用したパンツで、アイビーリーグ校の
学生たちが多く履いていたことから、アイビーリーグスタイルの
基本ともされるアイテムになった。
強い耐久性のある素材であることから、軍用パンツ、
作業服、カジュアル用にも多く用いられる素材。
カーキ色はくすんだ黄色のこと。
フォークピース
オーダーで仕立てるパンツには、標準で付けられている、
パンツの内側部分の補強用の付属で、モモが太く、股ずれを
起こしやすい人のために工夫されたひと手間です。
フォークピースは、パンツの尻部分に付けられるため、
通称「尻シック」と呼ばれるものと同意。
股の前側にあてられるものと、後ろ側にあてられるもの、
前後にわたる広い範囲に付けられるものなどがあり、
前側(前股)にあてられるものを特に「前シック」、
後ろ側(後ろ股)にあてられるものを「後ろシック」
といって区別されています。
ヒップスラングパンツ
スラングにはひっかけるの意味があることから、
ヒップスラング・パンツは、腰でひっかけるようにして
着用するパンツのこと。
股上が浅い作りになっており、ローウエストではく。
1960年代末~70年代にかけて、大流行した
ヒップボーンパンツと同義で、ヒップハガー(ヒップハンガー)、
ローライズパンツも同じ。
パンツの股上の浅い、深いは流行に左右されることが多く、
オーダースラックスでも、特別に浅い、または深い股上寸法
の指定は、多くご指定のある部分です。
替えズボン
ジャケット+パンツが共生地となるスーツに対して、単品でコーディネートする
独立したパンツという意味で用いられるもの。
古くはジャケスラ(ジャケット+スラックス)、現在では同じ意味合いで
用いられていますがジャケパン(ジャケット+パンツ)の下衣(ズボン)に
該当します。
また、2パンツスーツ(ジャケット+パンツ2本)で着用する場合の、
もう1本の替えパンツという意味でも使われます。
ジャケパンは春夏シーズン、秋冬シーズンを問わず、カジュアルはもちろん、
ビジネス用にも広く取り入れられており、リネン素材のジャケットに
コットンパンツや、ハリスツイードジャケットにモールスキンパンツなどは
定番中の定番。
ベルトレス・スラックス
ベルトを用いないではかれるスラックスの総称。 ベルトを通すためのベルトループが付かないタイプのスラックス。多くはウエストバンドの先端に持ち出しが伸びボタン止めとされ、この持ち出しによって腰まわりのフィット感を増すことができる。脇にアジャスター(アジャストタブ)が付けられるのも特徴のひとつである。スポーティな用途に使われることが多い。
ベルトレス・スラックスに特徴的な持ち出しには幾つかの種類があり、先端が四角く釦1個止めとしたもの、先端が三角となる剣先の形をした持ち出し、一般的には、釦1個止めの釦止めとするところ、前釦2個止めとする場合など。この前釦2個止めの場合には、3.5cm標準のウエストベルト(腰帯)の巾が4cm~4.5cmと太めになる。
また、アジャスター(アジャストタブ)は、スライド式や釦止め式のものなどがあり、フォーマルスーツなどにも付けられるスライド式のものが一般的で、ジャストフィットのウエスト寸法を基準に前後4cmのウエスト調整を可能にした付属金具。
プリーテッド・トラウザース
ウエスト前面にプリーツ、つまりヒダをとったオーソドックスなスラックスの総称。ワンタックパンツ、ツータックパンツがあり、内ヒダ、外ヒダの区別がある。内ヒダは”リバースプリーツ”という。
プリーツなしのスラックスのことをノータックスラックスという。トラウザースはパンツ、スラックスの中でも、ビジネス用などのスーツスタイルに合わせるパンツのこと。
一般にプリーツ入り(タック入り)パンツのほうが、ワタリ巾(モモ巾)が太く、ゆったりしたシルエットとなり、体型的な面では、ウエストとヒップのドロップの大きな下半身Y体型の人には1本または2本のプリーツを入れておいたほうが、身体の線に沿ったシルエットとなりはきやすいパンツとなる。
また、ヒダは折り畳む上端のみを縫いとめ、折り目線はプレスして折り畳まれた状態のまま。ダーツは、折り目線部分も縫いとめてしまうという違いがある。
外ヒダと内ヒダを組み合わせた箱ヒダ付きのパンツも、プリーテッド・トラウザースの一種。
プラスフォワーズ
ニッカーボッカーの1種で丈の長いもの。 一般的なニッカーボッカーの膝下を4インチほど長くしたことから呼ばれるもの。最初、英国陸軍が発案し、その後の1920年代後半にはゴルファーに愛用された。ほかにプラスツーズ、プラスシックスィーズ、プラスエイツがしられるが、これと同じく膝下丈で呼ばれるものである。また、これはゴルフのハンディキャップの点数を示すものといわれる。名人クラスの人に4点を与え、そうした人たちが多くこのズボンをはいていたらしい。
プラスフォワーズ、ニッカーボッカーのその元となるものは、オランダ人移民がはいていた半ズボンに由来する。はじめこの半ズボンをはいたオランダ人のことを、ニッカーズと呼んでいたものが転じて、この形をした半ズボンそのものを指すようになった。
裾すぼまりのシルエットをしたパンツは、動きやすいスポーティーなシルエット。カジュアルでもあまり見かけることの少なくなったニッカボッカーですが、ガンパッチ、エルボーパッチ、背バンドなどを付けたツイード素材で仕立てるブリティッシュな雰囲気漂うハンティングジャケット、ノーフォークジャケットとの相性はとても良い。
パンツ
トラウザーズまたはドロワーズ(半ズボン風の下着)のアメリカでの総称。日本では男性の下着のことを呼ぶことがあるが、むしろスポーティなスラックスの総称として使いたいものである。
日本人的にいうと、パンツは下着にも使う言葉なため、はじめの頃多少の違和感があったが、現在では2パンツスーツ、ジャケットとパンツでジャケパンなど、オーダースーツの分野でもパンツは普通に使う用語になっている。
長ズボンといった意味合いでパンツと同じように使われる「トラウザース」は、スーツに組み合わせるパンツ、ビジネス用のパンツ。スラックスはスラックという「ゆるみ・たるみ」を語源とすることから、セパレート型のスポーツ用ズボン。
スーツ用のトラウザースとしてのパンツのほか、コットンやリネンなどで仕立てられたカジュアル色の強いボトムスはよりパンツと呼びやすいアイテム。