パンツのヒザ位置を中心に３０ｃｍ程度の共生地や
別布を当てて二重に補強するディテールデザインで、
ワークパンツなど丈夫さが必要なパンツに多くみられるもの。
ツイードジャケットや、フランネルジャケットなど、
カントリーテイストのジャケットのデザインとして
人気の高い、エルボーパッチ（ひじ当て）を、
スラックスのヒザ部分に付けるひざ当てで、
消耗度の激しい部分に付けられ、摩耗すると、
当て布を新しいものに取り替えることもできます。
オーダーパンツでもヒップから内股にかけて、
同様に共生地をはめ込むサドルパッチ、股ずれ防止布は、
とても機能性の高いオプションデザインとなっています。
パンツのウエスト部分に付ける持ち出し型のベルトで、
別名、エクステンション・ウエストバントや、そのまま「持ち出し」
といいます。
フロント部のウエストバンド先端を６～７ｃｍ程度伸ばし、持ち出し
の形にしたもので、釦で止められるもの。
本来はベルトを使わないベルトレスにセットされるパンツの
デザインとしてループが付けられず、アジャスターや、
脇尾錠、バックストラップ（後ろ尾錠）で調整されるもの
ですが、腰のフィット感を増し、またデザイン的なところから
ベルトを使用するループ付きスラックスにも、選ばれることの多い
デザインとなっています。
この持ち出しの先端は一般には、四角となっていますが、先端を
剣型とした「持ち出し剣型・三角」といったデザインも
オーダーパンツではご指定可。
スラックスの後部につけられるポケットのことで、
ピストルポケットの通称。
ヒップ（お尻）に付けられることから、
ヒップポケットと同じ意味で使われていますが、
正しくは、「鉄砲隠し」という別名もあるとおり、
以前は鉄砲（ピストル）を隠すために使用した由来が
あるように、フタ付きのボタン止めの仕様となる、
スラックス後部のポケットのこと。
現在では、フタ付きポケット、フタなしポケット、
デザインされたループ状や、ベース型のフタの付いたもの
など全てのパンツ後ろポケットのことを呼んでいます。
ビジネス用スーツでは「フタなし左釦止め」が標準仕様。
オーダーパンツのデザインとしても、こだわりたい
もののひとつ。
スラックスのウエストバンドに付けるベルト通しのこと。 スラックスの型によって、その型も変化に富んでいる。
標準的なベルトループは巾１ｃｍ×長さ４．５ｃｍ。愛用のベルトのサイズに合わせてループの長さを広くしたりするということもオーダーパンツでは対応可。デザイン的に、ループの巾を太くしたり、２本のループを交差させ【X】としたり、２本並べて配置したり、斜め付けにするなどバリエーションも豊富。機能的には、前かがみになった時に、シャツやパンツが見えづらいよう、後ろループのみ２本としたり、補助ループといって、前脇部分に１つ付けられるベルトのバックルが移動してしまわないための工夫もオーダースーツならでは。
このベルトループはパンツ上端から１ｃｍ程度下の位置に付けるループ下り位置が一般的だが、股上の浅いパンツではトップループといってループ下りゼロ（パンツ上端にループを付ける）や、ハイウエストのシルエットとするために、ループ下がりを２ｃｍ以上と長めにとることもある。
服の後部につく尾錠のこと。 アイビースラックスやアイビーキャップまたはベストなどに使うことがある。
元来、まわり寸法の調整機能をもつディテールで、この尾錠金具の部分で、ストラップ（帯）の長さを調整し、少しゆるめなベストのまわり寸法やヒップまわりをタイトとする役目がある。
現在では、装飾金具としての意味合いが強く、中にはファッション感覚に優れた材質を使用したものや、形そのもをデザインされたものもある。また、ストラップ（帯）の裾処理を蝶々に見立てたバタフライなどは、エレガントな雰囲気をもつ。
アイビースラックスの場合には、パンツ後ろ部分のピスポケットとウエストバンドの間に位置する。
アイビーキャップはコットンや薄手のウール地で作られる、上部が一枚天井、後部にこの尾錠を特徴とするハンチング型のキャップ。
フォーマルウエアのトラウザーズの脇線縫い目にそって飾られる比較的広幅の飾りテープのこと。燕尾服は２本、タキシードは１本と決められ、朱子織りのシルクやタフタ（木目模様の生地）などから作られる。また、このデザインは儀礼的な軍服や、パレード用の音楽隊のユニフォーム、その他ユニフォームなどにも取り入れられており、近年ではトレーニングパンツにも用いられることがある。
タキシードや燕尾服など正装の夜会服として着用される礼服の側章には、衿表のフェイシングクロス（拝絹地）と同じものを、パンツ脇線縫い目の側章として使用することもある。
このフェイシングクロスにはいくつかの種類があり、素材はポリエステルでも正絹と同じ風合い・手触り感をもつもの、シルク１００％のもの、縦糸をシルク、横糸をポリエステルなどとしてその混紡率が５０％となるものなど。やはり、シルク１００％で作られた拝絹地がもっとも高価で高級感も高いものになる。
※トラウザーズ
おもに英国で＜長いズボン＞をあらわす言葉で、米語で＜パンツ＞、フランス語で＜パンタロン＞にあたる。
コンティニュアスは「絶え間のない、とぎれない」等の意味。 転じて「区切れのない型」のことになる。つまりスラックスのスタイルの１種でウエストバンドのないものをいう。多くはヒップハンガーのパンタロン用のデザインである。
股上の浅いパンツには、いろいろな呼び名があり、ローライズ・パンツ、ヒップハンガー・パンツ、ヒップスラング・パンツ、ヒップボーン・パンツなど。ヒップスラングのスラングは、「引っ掛ける」という意味があり、ヒップボーンは、腰骨そのまま。
これら股上の浅いパンツには、標準的なレディースパンツのウエストバンド巾となる３ｃｍ、デザインされた太めな５ｃｍ程度のウエストバンドをもつものとなり、現在人気のローライズパンツの多くは、ウエストバンドは付いている。
コンティニュアス・タイプはウエストバンドのない股上の浅いパンツという特徴から、ループのつかないベルトレス。腰骨に掛かりやすいように、多くはパンツトップに端処理がされている。
※ヒップ・ハンガー
腰でひっかけるようにしてはく、ロー・ウエストで股上が浅いパンツ。ヒップ・ボーンパンツ、ローライズ。
スラックスの折り目のこと。 特別な場合をのぞいて必ずきちんとつけなければならない。折り目の上部はヒップの下あたりまでで止めること。左右の折り目がジョイントするのは野暮の骨頂とされる。なおパリあたりでは折り目をはっきりプレスしたジーンズがファッションとなっている。例外中の例外ではあるが。
また、クリースはパンツの折り目のみでなく、スカートや衿の返り線などに用いられることもある服飾用語。
このクリースは湿気その他着用頻度などから次第に甘くなってしまうため、高圧の蒸気でクセ付けする「万年プレス」ほか、その便利さから、近年多くのパンツに加工されるようになった「シロセット加工」「スーパーセット」などは、名前のよく知られたところ。ウールの風合いを損なわずにクリースをシャープに保つ薬液を噴霧することでクリースの形態安定を実現したもの。着用後のクリースを含めたパンツのアフターケアを楽にすることができる。
パンツの調節用の持ち出し。 ベルトレススラックスやジャンパーの裾などによく付けられ、サイズの調整と装飾を兼ねたものが多い。
オーダースーツで多用されるのは、パンツのウエスト調整用に使用されるアジャスター。特に、フォーマルスーツのように、一般のビジネス用スーツなどと異なり、着用期間が長くなるため、その間のウエスト寸法の変化（体型変化）に柔軟に対応させるために付けられることが多い。
アジャスターのウエスト寸法調整可能範囲は、基準寸法に対してプラスマイナス４ｃｍ。９０ｃｍのウエスト寸法の人なら、９４ｃｍ～８６ｃｍまでの範囲で、アジャスターをスライドさせるだけで、簡単に調整できる。
アジャスターをオプションとして選択する場合、ウエストベルト（帯）付き、脇ポケットは斜めのみ対応可で、脇ポケットタテは対応不可。
帯巾標準が３５ミリのところ、４０ミリや４５ミリの太め、前釦１個を２個などのバリエーションもあります。