シルエット・ライン
アークショルダー
ジャケットやコートの肩から袖にかけての
シルエットをショルダーラインという言葉で
あらわします。
ビジネススーツのショルダーライン(肩線)として、
多く用いられる「ナローショルダー」「ビルドアップショルダー」
「コンケーブ・ショルダー」などが、
代表的な肩線。
アークショルダーは、別名にアーチショルダーとも
言われ、弧を描いたような肩線のもの。
肩先が丸く、袖にかけて大きくカーブした肩の
ラインで、肩巾をより広く見せるボールドな
シルエットです。
Aラインシルエット
トップスを細め、ボトムスを太めとすることで、
アルファベットの「A」のようなアウトライン
に見えることから「Aラインシルエット」と呼ばれているもの。
オーダーパンツでもノータックパンツから、タックを入れる
ことでヒップまわり、モモ巾にゆとりを持たせたシルエットの
ボトムスが好まれるように、ボトムスのワイド化傾向から、
注目を集めているコーディネート。
トップスをすっきり見せることで、垢ぬけないワイドパンツの
シルエットを補ってくれることにも役立つコーディネートテクニック。
このアルファベット「A」は、1955年クリスチャンディオール
発表のドレスや、「Aラインスカート」が、同様のアウトラインを
もつことから、シルエットの名前の一部として使われています。
Iラインシルエット
トップスとボトムスなどで形作るシルエットのなかで、
上下のフォルムが似ているために、アルファベットの「I」の
ように見えることから呼ばれるコーディネート。
おしゃれ偏差値をアップさせてくれるファッションの
基本シルエットとされる「Aラインシルエット」
「Vラインシルエット」を加えた3つのシルエットのなかで、
もっともベーシックとされるもので、単に「I」の字型に
見える細身のシルエットのみでなく、若干のゆとりをもった
シルエットでも、トップス・ボトムスのバランスが同じものならば、
「Iラインシルエット」に含めて考えられる。
同一の生地を使用し、ジャケットとパンツを同モデル、
セットアップで仕立てられたビジネススーツは、
この「Iラインシルエット」の代表的なもの。
エックスライン(Xライン)
衣服のシルエットが英文字の「X(エックス)字形」のように
見えるもの。
肩巾を広く、ウエストはシェイプ、裾にかけてフレアさせることで、
主に女性らしいラインに形作られたドレスに多く見られる
シルエットですが、メンズスーツや、ウエスト部のベルトを
絞ることで、表現されるコートのシルエットをいうときにも
使われます。
エックスラインと同じく、コート、スーツ、ドレスの
代表的なシルエット、ゆったり感のあるAラインに対して、
体型にそったフィットするシルエット。
当店スーツでは、ブリティッシュモデルのスーツが、
そのバックスタイルにこのXラインを取り入れています。
ローツー
背広上着、ジャケットの前ボタンの位置が低目にとられた2つボタンのスタイルを総称する。Vゾーンが広く開けられることになる。
釦位置の高い低いはその時の流行に左右されることが多く、一般的にはローツーといわれる釦位置が低い場合には、ジャケットのシルエットはゆとり量が多いゆったりめなシルエット、低めの釦位置に比例してゴージ高さもゴージ角度も低くなる。逆に、ハイツーと言われる釦位置が高いシルエットの場合には、Vゾーンも狭くなるタイトな仕様で、ゴージ高さも角度も高いものとなる傾向がある。
※2013年現在のタイトスーツはこのローツーのように釦位置が低いシルエットとなっています。
このゴージの高さ・角度と、釦位置との関係は、シングル2釦スーツの場合のみに限らず、3釦スーツ、打ち合いがダブルのスーツでも同じようなことがいえる。
フレヤードライン
裾が広がったシルエットの総称。 全体にゆるやかで、曲線的なラインに特徴がある。上着の裾、スラックスの裾、スカートのシルエットによく使われる。
フレアは朝顔型に開いているという意味で、衣服のラインとしては現在もよくあるシルエット。縫製技術のひとつで、バイアス(斜め)に裁断したり、接ぎあわせたりして裾に向けて広がったシルエットをだす。
ジャケットの裾に見られるフレアーは、ケマワシといわれる裾回りを広めにとったシルエットとなり、クラシコスーツやブリティッシュスーツがこのシルエット。パンツでは、ヒザ巾よりも裾巾を広めにとったブーツカットやベルボトムがこのデザインになる。
このフレアードラインは、全般にドレッシーな雰囲気を持つ欧州調のスタイルに多く、ブリティッシュスーツなどは、着丈を長めにしてこのフレアードラインをより強調させる。
パゴダライン
肩先を中国の寺院の塔屋のように、極端に高く持ち上げたライン。肩から続くシルエットも、塔のようにすっきりと流れる。ピエールカルダン創作のもの。
パゴダ・ショルダーというもので、コンケーブ・ショルダーと同様のもの。コンケーブは「くぼんだ」という意味で、肩先を高くし中央部をくぼませることで弓なりに反ったような肩線となるもの。
これらのような肩線とするためには、裁断や肩パッドなど詰め物などを調整して構築する。似た肩線のものに、ビルドアップショルダーがある。
ビルドアップショルダーは、袖付けを標準的な肩線の位置よりも内側にかぶせ、また肩先の詰め物で調整するもの。肩線は、パゴダショルダーほどではないが、湾曲するシルエットとなる。
ハイツー
ジャケットのボタン位置を示す言葉で、一般のものより高めにつけられたシングルブレステッドの2ボタンを意味する。ウエストを絞ったジャケットに多く用いられ、Vゾーンも狭めとなる。
これに対して、標準的な釦位置よりも低めにウエスト位置をとられた2釦ジャケットをロー・ツーという。
この釦位置とジャケット各部位とは関連があり、一般的には釦位置があがればウエスト位置、ゴージライン・角度、胸ポケット・腰ポケット位置も上がり、下がれば全体的に下がる傾向にある。
ハイツーとすることで、釦位置があがり狭くなるVゾーンとは、ジャケットの衿の下げ止まり位置より上に、シャツやネクタイの見える部分。スーツにおいては数少ない個性的なファッションセンスを見せることができ、また差の出るところ。
ハイウエスト
実施の体のウエストラインよりも高い位置にとられたウエストラインのこと。また、そうした服の総称。エドワーディアンルック、シェープドラインのジャケットに取り入れられることが多い。
エドワーディアン・ルックは英国国王エドワード7世が王位にあった1901年~1910年のファッションスタイルのことで、メンズスーツにおいては細身にフィットしたもの。
現在着用されるスーツスタイルは、ウエストを高めでシェイプするこのハイウエストのシルエットが多く、クラシコイタリア協会のコンセプトである伝統的高度縫製手法のテイストをもつクラシコスーツ、高めのシェイプドラインから裾にかけてドレッシーなラインをもつ、ブリティッシュスーツは代表的。
逆に、タイトなショート丈のスーツは、全体バランスから、低めのウエストラインとなることが多い。
ドレープ
もともとは「(衣類、掛け布などを)優美にまとわせる」の意味で、自然にできた布のたるみをいう。スタイルをより優美に見せるために、意識的にデザインとして取り入れることがある。また機能性を高めるための意味も込められている。ボールドルックの背広にはよく見られた、タテ型のゆるみになるのが特徴である。
ドレープという服飾における造形技法が意味をもつのは、布地を多めに使い、衣服を身体にまとわせることでゆったりとした生地のまとわり感を楽しむシルエット。衣服にドレープ性をもたせるには、素材そのものの材質選びも重要で、しなやかなキメの細かい、柔らかな生地が適している。
「ドレープ感」が良いというのは、アルマーニ的なソフトスーツが流行したころによく聞いた言葉。
※ボールド・ルック
1930年代に登場し、40年代末に米国で流行したメンズ・スタイル。ボールドは<大胆な>の意味で、ボールド・ルックはパッドを入れて肩を強調し、ラペルやネクタイ幅の広い、派手なファッション。
トルソーライン
上着丈を長めにして、全体にスリムな感じを強調したシルエット。
トルソーはイタリア語で「人の身体の胴部分」を意味するものになるが、服飾用語では完成した衣服を陳列するための「人台・ボディー」のことをトルソーといいます。
このトルソー・ラインは、人台のバストからヒップにかけて、ぴったり密着するようなスリムなシルエットのことになりますが、そのスリムなシルエットは、ジャケット丈を長めにすることで、より強調されます。
スリムとタイトとどう違うんだろう、タイトフィットとトルソーラインとの違いは・・ということにもなりますが、タイトフィットはシルエットも含む言葉ですが、着心地感重視、トルソーラインは、細身なスリムのシルエット重視というところでしょうか。
トルソーがイタリア語であることから、欧風調のエレガントな響きのある服飾用語です。
トラペーズライン
袖口や上着の裾、スラックスの裾などをフレヤーさせたシルエット。典型的なイギリス調の1種。
トラペーズは台形のことで、細めの肩巾から裾にむかって末広がり的にフレアを多くとったシルエット。このトラペーズラインは、テント・シルエットとほぼ同様のもので、1958年のイブ・サンローランの発表作として有名。
メンズスーツにおいては、ジャケットではウエストシェイプから裾に向けてフレアを多めにとることは、ケマワシといわれる裾巾を調整、袖口巾をひじから袖口にかけて調整する。
パンツの裾フレアーは、ブーツカットやベルボトムなど、メンズスーツの標準的なテーパード(裾にむけて細く)ラインとは異なり、パンツのヒザ巾よりも裾巾を広く作ることで、このシルエットとなる。
裾口をフレアーさせてシルエットは、ドレッシーでヨーロッパ風の雰囲気を持つ。
トップヘビーシルエット
上半身が重いシルエットということからわかるように、トップスが大きくボトムスの小さい、今流行のスタイルをいう。
いわゆるアイビー・リーグ・モデルのスーツスタイルにも共通するものがある。アイビーの場合には、胸ダーツのないボックスシルエットに、パイプドステムというパイプの柄のような細身のシルエットをしたノータックパンツをあわせる。
トップスに大きめサイズのものを持ってくる効果は、おもに体型の小さな人のためのもの。見る人に上体が大きいと錯覚させることで、大柄な体型にみられる。
アイビーが上質な素材で作られることの多いプレッピーなアイテムなため、テーラードなスーツに限っていえば、トップヘビーなシルエットを装うことで、自然にさりげなく育ちのよさをアピールできる。
チューブライン
ちょうど、チューブ(筒)のように、ほとんどゆとりなく極度にボディフィットした背広のシルエット。ボディラインはこれの日本的な言い方。
チューブラインが、身体に線に沿ったタイトフィットなスーツのシルエットとは、ピンとこない人が多いと思うのですが、知ってしまった以上、チューブラインと言いたくなってしまいます。。
現在の極度にフィットするタイトスーツは、単純に細身な枠を超え、その中身の鍛えられた肉体をも感じさせるほどのシルエットをもつものという意味では、ボディコンシャスなスーツに近いです。ジャケットのほとんどないといって良いほどな胴回りは、不足寸法のための引きジワが目立ちますし、スリム仕様なための袖・ヒジ・アームホールでは、なかの腕がムキムキしているのがわかるものも・・。。
かっこいいですが、やりすぎはお仕事用スーツとしては、少し疲れてしまうかも知れませんね^^