スーツ
ディトーズ
ジャケットとスラックスを同じ生地で仕立てたスーツのことをいいます。
スーツは上下を共生地で仕立てた衣服のことをさすため、
同じもののようですが、ディトーズという場合、ベスト、さらには
帽子やカバン、ネクタイなど小物類までスーツと同じ生地で作る
というところが少し違います。
ディトーは、「同上、繰り返し」
オーダースーツでも全てのアイテムを同じ生地で仕立てることがあり、
素材は選びませんが、スーツにベストを加えたスリーピーススーツ、
これにコートを加えるとフォーピース。
スーツ地と同じウールネクタイを仕立てるというオーダーは
比較的ポピュラーなアイテム。
市販品としても販売されているハリスツイードの帽子や、バッグの
ようなアイテムを、ハリスツイードジャケットやスーツを仕立てる際に、
生地のみご購入いただき、なじみの帽子屋さんなどに持ち込み仕立てて
もらうというお話もよく聞きます。
ソフトスーツ
オーバーサイズ気味に作られたルーズシルエットが特徴的な
スーツの総称で、1980年代に流行したアルマーニを代表する
デザイナーズブランドのスーツシルエットに多く見られたもの。
ビジネススーツとして使われていました。
オーダースーツでもこの当時仕立てるスーツ寸法は、通常寸法から
肩巾でも+5cm程度のオーバーサイズで仕立てるほどゆとりを持たせ、
それに合わせてジャケットのウエストまわり寸法もゆったりめ。
肩先が落ちてしまわないように、大きめの肩パッドが入れられて
いるのも大きな特徴。
スラックスは、このゆったりしたジャケットに合うように、
タック入りの2タックパンツが基本で、ワタリ巾も広め。
中にはタックが3本入った3タックパンツでのご注文を
いただくこともありました。
自分サイズの肩幅は現在45cm程度で作ることが多いのですが、
この頃のスーツは肩巾50cmと大きめなものでした。
ソフトスーツの作られた当時のスーツ色はバブル期の時代を象徴してか、
バステルカラーなども多く取り入れられ、シングル2釦スーツのほか、
同様にゆったりめのシルエットとなるシングル3釦2掛スーツや、
ダブルジャケットの前釦を外す、よりルーズな着こなしをする
ビジネスマンなども見られました。
仮縫い
仮縫いはスーツを仕立てる際のひとつの作業。
中縫いなどと呼ばれ、ご注文者の体型に合わせて
裁断されたパーツを、しつけ糸で一旦洋服の形に作ったものを、
着合わせし、補正するためのものです。
イージーオーダーやパターンオーダー、
高級プレタのブランドなどが、メイド トゥ メジャー
といっているのは、いわゆる直縫いで、仮縫いがなく、
着用者の寸法に一番近いパターンを使用し、
寸法調整・体型補正を加えた上で、縫製作業を
すすめます。
仮縫いをするメリットは多くありますが、
寸法的な微調整を実際に仕立てる服地で、実際に着用し、
確認することができる点。
目で見て調整が必要な寸法を、そのまま本縫いにすすめる
ことができるため、仕上がり後のスーツイメージが
しやすいです。
反面、仮縫いに対応しているパターンは比較的古いものが多く、
費用・時間ともにかかるため、クラシコスーツや、ブリティッシュスーツ
など、現在モードのパターンでスーツを仕立てたい場合には、
不向きです。
仮縫い
「中縫い」や「フィッティング」とも言われるもので、「本縫い」に
入る前に、着用者の体型に合わせてしつけ糸を使って作られたジャケットや
パンツなどを、着合わせをします。
デザインやクラシコスーツやブリティッシュスーツなどシルエットの確認や、
寸法や体型に合わないところを調整するための、スーツを仕立てる上でのひとつの工程。
イージーオーダーやパターンオーダーというものは、この「仮縫い」
のないオーダースーツの縫製の仕方をいい、メジャーや、
ゲージ服を用いて、フィッターが寸法・体型確認をした上で
「本縫い」に入ります。
※「仮縫い」付きのスーツに対応している縫製工場は年々減少しており、
また新しいパターンでの縫製には不向きな点、「仮縫い」をするための
費用、納期、「仮縫い」のための来店回数等や、熟練したフィッターが
採寸するメジャー、ゲージ服からのパターン調整がいわゆる「仮縫い」と
同じ効果を持つことなどから、大きな体型補正が必要な方におすすめしています。
ウイークエンドスーツ
週末(ウイークエンド)に着られることを目的としたスーツの総称。レジャーライフにマッチするよう、スポーティでくつろいだ感覚にあふれているのが特徴。週休2日制の本格的な時代を向かえ、大いにその用途が期待されるスーツアイテムである。
レジャースーツ
非常にリラックスした雰囲気を持つニュースーツの名称。 ジーンズ的なイージーケア性とテーラードスーツのきちんとした味をあわせもつところに特徴がある。ジーンズファッションの後に生まれた新しいファッションで、かつてのノンスーツに比べてはるかに新鮮で影響力も大きい。代表的なデザインとしてはサファリスーツ、シャツスタイルドスーツ(シャツカラーの付いたジャケットとスラックス)、ブルゾンスーツ、ジーンズスーツなどがある。ここでのレジャーは「安らぎ」の意味に使われる。
また、近年ビジネスのドレスコードも柔軟になり、またクールビズ、ウォームビズなどの影響から、夏にはコットンやリネン、秋冬にはフラノやツイードなど、レジャー・スーツに多用されるカジュアル素材を使ったビジネス仕様のテーラードスーツがビジネスのシーンでも着用されることが多くなってきました。中にはシルエット的にも、衿付きの背広の範疇には入るものの、肩パッド、付属、芯地などを極力省いた、アンコン仕立てのスーツなども見かけます。ただ、色柄的にはコットンスーツ、リネンスーツでも濃いめな濃紺、チャコールグレー、黒などが好まれる傾向にあるようです。
※サファリ・スーツ
サファリ・ジャケットとパンツあるいはスカートを組み合わせたスーツ。
リクルートスーツ
就職用のスーツ。 いわゆるフレッシュマンスーツのことで、新入社員用のものばかりでなく、会社訪問や入社試験のためのスーツも含まれる。ほとんどはナチュラルモデルの紺のスリーピーススーツとなっているのが実情。
色柄はもちろん、シルエットなどもごくオーソドックスなものが理想的。主観でなく評価される側の気持ちで選ぶスーツなので、就職面接官や試験官の年齢などを考え、おとなしめなものが選ばれる傾向にある。オーダースーツでデザイン、シルエットを決めていただく過程でも、ジャケットのベントでさえ、「サイドベンツは少し開放的な感じがするから・・」などの理由で敬遠されがち。希望の職種にも左右されるが、リクルートスーツは、リクルート専用スーツというカテゴリがあっても良いと思えるほどです^^
長引く不況から、希望の就職先にすすむことができるための努力、またリスク回避が、人に会ったときの第一印象を大きく決める、身なり・身だしなみでできるなら、注意を払う必要がある対策のひとつであるといえる。
ラウンジスーツ
主にイギリスにおいて使われる言葉で、背広全般を意味する。もともとは、現代の原型として1820年ごろ、にあらわれた男子服のことでラウンジジャケット、3つ揃い感のラウンジスーツへと徐々に変化して、現代の型に定着した。もとは日常的に着用するものとして、フロックコート対して着られるようになったもの。非公式な場で着用され、ジャケット・パンツ・ベストの組み合わせはビジネススーツの原形。
上着がゆったりしていて、気楽に着られるところから、アメリカではラウンジジャケットを、サックコート背広全般をサックスーツと呼んでいる。これは「袋のようにゆったりした上着」の意味を含んでいる。
サック・スーツのスタイルはアメリカン・スタイルを代表するシルエット。
※サック・スーツ
サックは袋の意で、転じてゆったりとした上着をさす。サック・スーツはシングル・ブレストで全体にゆったりした背広のこと。
ミックスドスーツ
セパレートの形式をとりながら、上、下が色が柄、素材のどれかでコーディネートされているもの。新しいスーツの概念のひとつとして登場している。コーディネートスーツ。ミックスとは「混ぜる、混和する、結合する、一緒にする」の意味がある。ミックスアンドマッチの手法をスーツに取り入れたものといえる。
ファッションの着こなしとして、ジャケット+パンツなどの上下を一般的に異なるもので組み合わせる場合、色のトーン、模様・柄、素材感でコーディネートすると落ち着きます。これは、上下のスーツに限ったことではなく、ネクタイにひと色、シャツのひと色、など、コーディネートするというのは、基本的には、ファッションに統一性をもたせることと考えて良く、そういう意味でミックスドスーツは、セパレートの上下服をきちんと着こなすセオリーにのっとって組み合わせるバランスの良いコーディネートといえる。
ミックス・アンド・マッチは異なる性格のものを、ミックス(組み合わせて)、マッチ(調和)させる、着こなしのテクニックのこと。
ボレロスーツ
ボレロは女性や子供がよく用いる丈の短い前開きのジャケットだが、これを真似て作られたベストスーツをこの名で呼ぶ。
ボレロ・スーツを構成するアイテムは、ボレロ+パンツではなくボレロに似せたベスト+パンツの組み合わせ。ただ、その境界線は微妙で難しく、ボレロが、衿・袖あり、なし両方を含み、丈はウエスト丈程度のものであることから、ベストとボレロのシルエットは近いものといえる。
大きくベストとボレロの異なるところは、ボレロがジャケットフロントの前開きを開けて着るのを特徴とするところなので、ベストをアウター的に着用するボレロスーツの場合には、ベストに近いシルエット+前開きで判断すると良いと思います。
また、ボレロはスペイン舞踊の意味で、踊り子が着ていた上着からのシルエットデザイン。闘牛士が着ているジャケットもこのボレロ。
ベルテッド・カーディガン・スーツ
1970年ごろからあらわれたノンスーツの1種。 チュニックスタイルのジャケットに共地ベルトまたは革のワイドベルトをあわせ、スーツスタイルとしたもの。レジャースーツにこの感覚は生かされている。
筒袖・筒型胴衣のゆったりしたチュニックをベルトで高めのウエスト位置をマークすることで、足長に見せる効果もあり、また独特のドレープ感も楽しめる。
ジャケット素材、パンツ素材とも共生地で作ることを前提としたスーツに、幅広いバリエーションを持たせ、ファッションとしての着こなしを奥行きあるものとしているのがノンスーツというジャンル。カジュアルよりの着こなしも可能なことから、応用範囲も広く、レディーススーツのちょっとよそ行き的な外出着として、着心地感も軽い。
ベルトのアクセサリーとしての役割は大きく、巾の太さ、共生地、別生地、紐タイプなどで印象も変化する。
ベストスーツ
ノンスーツの1種。 ベスト型の上着と、スラックスで構成されたスーツのこと。べステッドスーツともいわれる。この場合のベストはスリーピーススーツに見られる中着的なデザインとは異なりアウターウエアの外観と条件を備えている。
一般的にスリーピースで着用する場合の、中着的なベストは、背表にはジャケットの胴裏と同じ裏地を使用することが多いが、アウター的に着こなすベストスーツの場合のベストは、この背表には身頃と同じ生地で作ることも多い。袖なしジャケットの感じ。
ベストのシルエットも、スリーピース用ベストのパターンとは異なるものを使用、前裾カットなども含め、外着として着用できるシルエットとなっている。
ベスト付き3ピースが本来の伝統的スーツの着こなしなのに比べ、ベスト+スーツのコーディネートは、軽快な感じのするファッションスタイルといえる。
べステッドスーツ
ベストつきのスーツという意味だが、一般のスリーピーススーツと違って、特にベストとスラックスを共地にし、よくコーディネートされたジャケットを組み合わせたそれをさすニュアンスが強い。
難しい着こなし、コーディネートのようだが、ベスト+パンツを共生地で作り縦のラインを揃えるというのは、見た目がすっきりして誰にも似合います。ジャケット、パンツを共生地の2ピース+オッドベストのような着方はよく見ますが、それよりもはるかにスタイリッシュなスマートさを演出できる。
3ピーススーツという点、秋冬用のコーディネートと考えるなら、ベスト+パンツはビジネス用スーツ的な梳毛地でも、アウターのジャケットはカントリー調のツイードなど起毛感のある素材とするとウォーム感も出る。ジャケット重視で、ベスト・パンツを合わせる場合にも、またその逆にコーディネートする場合にも、それぞれ組み合わせた3ピースの入れ替えでより多くのファッションスタイルを楽しめます。
ブレザースーツ
スラックスをブレザーと共地・共色柄で作って組み合わせた一式をいう。多くの場合、ブレザーの基本色である、黒を多く使うためビジネススーツまたフォーマルウエアのひとつとして用いられる。ブラックウォッチタータンと呼ばれる黒と緑で作られるタータンチェックのスラックスを合わせても、現在ではこの分類に入れておかしくない。
共生地で作られたジャケット+スラックスなら一般的にはスーツと呼ぶのに対して、トップスがブレザーの場合にはブレザースーツと呼ばれることになる。ブレザーは、スーツと同じテーラード型(背広型)のシングル、またはダブルのカジュアル、スポーツジャケットの総称で、腰にパッチポケット、ブレザーボタンと呼ばれるメタル製の釦、胸にはエンブレムが付くこともある。
上下とも共生地で作られているという点では、スーツだが、特徴のあるデザイン・ディテールの面からあえて分けて考えたほうが良いという分類。
ブレザーの語源は、ケンブリッジ大学のボート部員が着用した上着が炎(ブレーズ)のように見えたというのと、英国軍艦ブレザー号の紺の上着からとする説が有名。
※タータン・チェック
スコットランドで古くから用いられてきたタータンのような格子柄の総称。正しくはタータン・プラッドという。
ブルゾンスーツ
ブルゾンと共地で仕立てたスラックスを組み合わせたスーツ。
スーツのカジュアル化でノンスーツの1種といわれるもの。オーダースーツ店の当店でも、おしゃれ着的外出着としてご注文をいただくことがあり、生地もビジネス用のの生地よりは、デニムや新合繊などカジュアルタッチのファブリックが多い。
デザインも既製の愛用品をお持込になり、同デザインをご希望いただいたり、手書きのスケッチ風のデザインからディテール詳細などをご指定いただくこともあります^^
ご着用いただく場所が、お仕事場などに限られないため、デザインも自由度が高く、中には胸にエンブレム、肩章、刺繍などを入れて個性的なおしゃれを楽しみたい方に最適なアイテム。
ビジネススーツ
ビジネスマンの制服ともいえる背広の総称。 社会的な意味合いがあり色柄・スタイルとも制限されることが多いので、自然と濃色の無難なものが用いられダークスーツと呼ばれることがある。しかし全体的なファッション化の傾向から、最近では明るい感じで、シャレたスーツも着られることが多くなっている。
以前にはダークな色合いが多く、仕事用の味気ないデザイン・ディテールなどから、ドブネズミ色などとあまりいいイメージにとらえられなかったビジネススーツだが、近年では流行型もあり、1980年後半から90年前半にかけてのバブル期には、ソフトスーツが流行したり、釦位置の高い3釦スーツ、2010年現在のタイト+ショート丈のスーツなど、既製スーツメーカーが流行を作る形で、好まれるものも異なる。
会社、職場などによって異なるドレスコートがあるため、一様ではないが、基本はシングル2釦、ベントはセンター、衿はノッチ、ポケットも標準のフラップ付きのポケットなど、凝らないデザインのものが多い。
※ダーク・スーツ
暗い色合いの生地で作られた男性用のスーツ。ビジネス・スーツの代表として用いられるが、本来は略礼服として用いることができるスーツをいう。
ビーフィ・スーツ
ビーフィは「肥満した」の意味であるが、ここでは「肉厚の」の意味にとる。つまり、厚手の生地に仕立てたスーツの総称である。メルトン、ツイードなどの厚く、ラフな感覚の素材はスーツに仕立てるとウォーム感あふれるカントリースーツに変身する。最近ではこうした素材のスーツを街中でも着ることが流行している。
田舎っぽいカントリー調素材のスーツには、タブ付きの衿、背バンド、アクションプリーツなど相性の良いディテールがある。温暖化傾向の秋冬シーズンには、厚手の生地で仕立てられたジャケットがコートがわりで十分ということもあるため、着丈を若干長く、半コート的な着こなしもこのカジュアルに向いたスーツにはあります。半コートならドライブ用のコートとしても、ちょうど良い長さです^^
また、お仕事、ドレスコードによっては、エコなウォーム・ビズにいかがでしょうか。。
※メルトン
地合いが厚く、手ざわりはやや堅いが丈夫であり、紳士のコート、ジャケットなどに使われる。メルトンの語源は、英国のキツネ狩猟地メルトン・モンブレーからきたとするものと、この織物の創始者ハロー・メルトンからきたとする2説がある。