スーツ生地の織り柄
バーズアイ
円の中に点が入っている1種の水玉模様を全面にちりばめたような織柄のこと。
バーズアイは「小鳥の目」を意味しており、日本名では
「鳥目織り」とも言われるもの。
地色には黒や紺、茶など用いられることが多く、白いドット柄などが組み合わされる。
大きな柄(ビッグバーズアイ)から小さな柄(スモールバーズアイ)まで変化も多い。
このバーズアイの模様を用いて織られた織物をバーズアイ・ウィーブといい、
オーダースーツ生地としてもおなじみのもの。
バーズアイ柄が人気の年というのもあまり聞いたことがありませんが、
ゼニア、ダンヒル、ドーメル、カノニコなど常に多くの有名生地ブランドがラインナップする、
シックな感じのするクラシックパターンのひとつ。
ライトグレー×黒バーズアイ
ダークグレー×グレーバーズアイ
ネイビー×黒バーズアイ
ブルー×黒バーズアイ
ライトブルー×ダークグレーバーズアイ
トリプルストライプ
「三重縞」「三本縞」のこと。
3本のストライプをひとつのグループにして等間隔で並べた縞柄をいい、
メンズスーツの生地に多く見るストライプ柄。
これと同じようにして、格子柄を形成するものはトリプルチェックと呼ぶ。
2本線を等間隔で並べた縞柄をダブルストライプ、
この2本線のストライプの間隔を少し開けて配置したものを
ダブルストライプをトラックストライプという。
また、グループ・ストライプは数本のストライプが集まって
1本のストライプのように見える縞柄となったもの。
ドット
ドットは「点」を意味するものですが、転じて水玉模様のこと。
コインドットのように大きくなるものから
ピンドットのような小さなものまで変化は多い。
特に大きい水玉のことを「スポット」といいます。
ドッテッドストライプといわれる「点縞」は、
ピンストライプより少し大きめの点(ドット)を連続模様とすることで、
ストライプ柄としたもの。
オーダースーツ生地によく見るドット柄は、このドッテッドストライプや、
ピンの頭のほどかすかなドットを連続模様とした
ピン・ポインテッド・ストライプ、ピンヘッドなど。
ドッテッドストライプ
水玉(ドット)を縦にならべた感じの縞柄のこと。
スーツ地に見られるドッテッドストライプは、このドットが
小さいものとなるが、 ビジネススーツなどによく用いられる、
ピンヘッドストライプ、ピンドットストライプ、
ピンストライプよりも、ドットが少し大きめなもの。点縞。
ピンストライプなどは、ドッテッドストライプの中でも、とくにピンの頭ほど
の小さなドットを連続した縦縞ということができる。
紺地、グレー地などのスーツ地に小さめなドット柄ストライプの
スーツ地は、ストライプ柄のなかでも大人しい印象がある。
タッタソール
2色で作られる交互格子柄。
特にタッターソールチェックの名で呼ぶことがある。別名、乗馬格子。
生地の地色に対して対照的な2色を使って作られる格子柄のこと。
また、2色が交互にでる縞のことをタッタソールストライプ(交互縞)と呼ぶ。
中柄のものはファンシーベストに、小柄のものはスポーツシャツ、
なかでもビエラ(梳毛糸と綿糸で作られた手触りの柔らかな綾織物)
で作られたそれに用いられることが多い。
リチャード・タッタソールが創設したロンドンの馬市場「タッタソール」で
使われていた馬用の毛布柄に因んでいる。
タッタソールチェックは、19世紀のイギリスで郵便配達人に着用された
「ポストボーイ・ウエストコート」に用いられていた柄。
※ファンシー・ベスト
テーラード(背広型)のスーツに合わせて着用される、装飾性の強いベストのこと。ダークなスーツと対照的な明るい色使いや華やかな柄と生地が使われるのが特徴。
タータンチェック
スコットランドのクラン(氏族)に伝わる伝統的な格子柄。
チェックが2重3重に重なって複雑な柄を形成している。
スコットランド貴族の紋章がわりに使われていたものは特にクランタータンと呼ばれ、
これら特別なタータンを使えない人が用いていたグレンチェックやハウンドトゥースは、
ディストリクトチェックと呼ばれる。
ディストリクトは本来「行政区」のことを意味するが、ここではスコットランドの地方のこと。
現在ではイギリスの民族柄の枠を越えてあらゆる分野に使われており、
その種類・柄とも数が多い。黒と緑を中心にした”ブラックウォッチタータン”
茶を中心にした”ブラウンウォッチタータン”は特に男の服の柄に適している。
また大柄のものを”タータンブレード”という。
タータンチェックは、「キルト」といわれるスコットランド男子の民族衣装の柄として、
またジャケットやコート裏地として使われるバックチェッククロス(バックチェック)
として見ることができる。
※タータン
色格子柄の綾織物。経(たて)と緯(よこ)同色、同本数の多色づかいの格子柄が特徴。
ブルー・ブラックタータンチェック
ブラウンタータンチェック+ブルーペーン
ブラックウォッチ・タータンチェック
ダークブルー・ペールブルータータンチェック
シャドウ・チェック
「影格子」と呼ばれる。シャドウは「影」のこと。
一見無地に見えるが、光線の具合によってチェックが浮き立って織り柄の
ことで、製織時、糸の撚りの方向や、その配列に変化を与えることで、
生地表面に陰影を付ける。
チェック柄が大きな格子柄となるものを、シャドウ・プレイド。
地味めなビジネススーツの柄によく見られ、どちらかといえば、
シャドウ・ストライプも含め、光の当たり具合によって見え隠れ
する織り柄はおじさんのイメージも強かったのですが、
近頃では、小柄のシャドウ・チェックを中心にオーダースーツを
上手に着こなす方が増えてきています。
シャドウ・ストライプ
撚糸の方向を変えることによって、
織り柄に陰影を付け縞柄が形成されたもの。
「かげ縞」ともいい、具体的には右撚り糸と左撚りの糸を
ストライプ状に配列して織る。
一見無地に見えるが、光線の当たり具合で縞が浮き立って見えるのが特徴である。
同じ糸用い組織を変化させることで縞柄を織る、セルフストライプ
と似た織り柄となるが、シャドウストライプのほうが少し大人しい
柄となる。
スーツ生地の織り柄としては、ポピュラーなもので、
ストライプ巾の狭いものから太いものまで、織り込まれる柄の
種類も多い。巾の狭いシャドウストライプで仕立てられた
スーツのほうが、若々しいイメージがある。
シャドウ・ストライプをチェック柄としたものを、シャドウチェック、
シャドウプレイドという。
シャークスキン
シャークスキンとは、本来、「鮫の肌」のことですが、織物でいうシャークスキンは、
鮫の皮のように、斜めにこまかいジグザグのはいった柄をいいます。
スーツ生地として用いられるシャークスキンは、経緯に別々の異なる糸を使って、
右綾に織られており、紡毛織物や、梳毛織物の布面の毛羽を取り除くクリア仕上げを施すことで、
生地の織り目や柄をはっきり見せた織り柄となっています。
グレーに見えるシャークスキンなど、背広の代表的な柄のひとつ。
背広地としてもオーソドックスな部類に入るシャークスキンは、
伝統的スーツスタイルとしてベスト付きスリーピースで着用したい
カチッとしたブリティッシュスーツと相性が良いです。
グレーシャークスキン
ネイビーシャークスキン
ライトブルーシャークスキン
シェパード・チェック
小柄のチェックで、日本では”小弁慶”と言われるもの。
シェパードは「羊飼い」のことで、もともとは羊飼い用の白黒碁盤縞の
布地模様を意味しており、牧羊者がはじめに用いた柄である
ことから、この名前があります。
濃色と白または他の2色までの色を使った織り柄で、格子柄中に、
右上がりの斜線が見えるチェック柄。
ハウンドトゥース(千鳥格子)とよく似ています。
たてとよこが普通の場合は同じ巾になり、白黒以外に色を多く使ったものは
ファンシー・シェパード・チェックの名称で呼ばれる。
ガンクラブチェックは、シェパードチェックに他色格子を
重ねて配した色数の多いチェック柄。
シェイデッド・ストライプ
シェイデッド・ストライプのシェイドには、
「陰をつける」という意味があります。
グラデーションのように濃い色から淡い色になり
それが次第にボケていく繰り返しとなるストライプや、
カスケードストライプ(滝縞)ともいわれるような、
中央に太い縞があり、端にいくにしたがって、
細縞となるストライプをいう。
滝縞では、太い縞の両側に細い縞が配列されるカスケードストライプを
両滝、片側のみに配列されるものを片滝と呼びます。
カスケードは「階段のように連続した滝」のこと。
ケーブルストライプ
縞がロープ状になったストライプ柄のこと。
ケーブルは「綱」の意味。
いっぷう変わった凹凸感のある織り柄が特徴で、
ロープドストライプ、綱縞、撚り糸縞などとも言われます。
ストライプ柄の線に、糸を撚ることでできた斜めの
線が入っており、綱のように見えることから。
スーツ地に用いられるストライプとしてもよく見る縞柄。
比較的太い線のものが多いが、細縞のシングルストライプ柄でも、
よくみると綱のように斜めの撚った線が入ったケーブルストライプ
もあります。
グレンプレイド
大柄のグレンチェックのこと。
正しくは”グレナカートプレイド”と呼ぶ。
グレンはスコットランドやアイルランドの峡谷のことで、
スコットランドのアークハート谷で14世紀、キャロライン夫人
によって織られたところからこの名称が付けられている。
グレンチェックは経緯糸の2本ずつ、または4本ずつを明るい色、暗い色
で繰り返し綾織りや斜子織りで織った格子柄。
ハウンドトゥースとヘアラインストライプが組み合わされた
ファンシーチェックといえる格子柄。
またかつてウインザー公がこの大柄のグレンチェックを好んで服に用いたので”
プリンスオブウェ-ルズプレイド”、プリンス・オブ・ウェールズの別名もある。
背広の柄としてはもっともオーソドックスなもので、ビジネススーツにも多用されている。
カジュアルジャケット地にはサマーツイードや、ハリスツイードジャケットなどにも
よく見るパターン。