pitty savile row
Posts by :
明き
ジャケットやパンツなどの衣服に、動きやすくするため
やデザインの目的から作られる、「明いた」部分のこと。
ジャケットの「ベント」や、袖の「本開き(本明き)」は、その
代表的なもので、「ベント」は開けることで腰回りを楽にして
くれ、「袖本開き」は、現在オーダーらしいデザインとして
人気のオプションとなっていますが、その昔は作業をしやすく
するなど機能的な目的から付けられていたデザインのひとつ。
この「明き」は作り方によって、ジャケットフロントの打ち合わせ
に見られる「打ち抜き」「突合せ」「比翼仕立て」、
ポケットデザインの作り方に見られる「玉縁明き」「差込」などがあり、
ボタンやファスナー、スナップなどによって明き口を止めて使われます。
メランジュ
ハリスツイードなど暖かみのある秋冬のジャケットや
スーツに多く用いられる生地柄のことで、
フランス語で「混合」を意味するところから、
2色以上の先染めされた色糸を交織することで、
「霜降り」調の効果をだした織物のことをいいます。
複数色の色糸が使われて織られた織物の見ためから、
ミックス調とも呼ばれており、メランジ、ミックスチュアは同意。
スーツ地やジャケット地の織り柄を表現するときに
同じように使われている「杢柄」は、複数色の色糸を
あらかじめ撚って1本にしたものを製織したものになります。
メランジュの織り柄の生地で仕立てられたオーダーアイテムは、
豊かな色彩、優し気な印象のあるお仕上がり感が特徴的。
シャリ味
スーツやジャケットに使われる織物の生地感のことを表現する
用語で、その触感や見た目がサラッとしており、肌にべとつかず、
涼し気に見える生地の様子を指して言うときに使われます。
夏生地の涼感をとても上手に表している言葉で、夏向きの生地は、
薄手になるため、シワになりづらいよう強撚糸を使用するなど、
強めのハリ・コシをもつために、生地表面が若干硬めに感じられるのと、
より涼しく過ごせるよう毛羽をきれいにカットした表面仕上げと
なっている生地感を上手に表しています。
「この生地は、シャリ感がある」などとよく使われます。
このシャリ味は、リネンスーツがその代表的なアイテム。
国産最高峰の服地として知名度のある御幸毛織の盛夏用服地「シャリック」は、
この「シャリ味」が由来なのかも知れません^^
織りみみ
スーツやジャケットなどを仕立てる生地に限らないのですが、
反物のゆがみやねじれを防止する目的で、生地の糸密度を
濃くしたり、ブランド生地の場合には、例えばカノニコや、
ハリスツイードといった織り元名や、フランネルや、
Super120’sといった銘柄を入れたりする毛織ものの生地の両端部分のこと。
特にブランド生地の場合には、スーツを仕立てた生地が
あとからわかるように、パンツ裾に縫い付ける「靴ずれ」に
この織り耳を使ったりするのが一般的。
また、昔のテーラーなどでは、顧客の仕立てたスーツの
補修用布を保存するために、この織りみみを使って、
余り布を結び、生地名等がわかるようにしていました。
単に「みみ」とも呼ばれる部分で、英語名は「selvage」。
レイズドストライプ
ビジネス向きのスーツ地に多く用いられる、ストライプ柄で、
地色と異なる染色糸で入れられるストライプとは異なり、
表地を盛り上げるような織り方をすることで、ストライプ柄の
ように見せるもの。
色ストライプにくらべ、落ち着きがあり一見するとわからない
程度にしか見えない縞柄は、柄、素材感に奥行きを感じさせて
くれる大人のスーツ。
ストライプ同様の織り方で入れられる格子柄は、
レイズドチェックと呼ばれています。
このレイズドストライプと、色ストライプなどを組み合わせて
交互縞(オルターネートストライプ)や、ダブルストライプ、
ランダムストライプ、マルチストライプといった
数多くの種類のストライプ柄がスーツ地として織られています。
ワッフルクロス
ジャケット地などの布面に、洋菓子のワッフルに見られる
四角形の凹凸を織り出した織物のことで、クラシックパターンの
ひとつとして、ヴィンテージテイストな雰囲気のある
アイテムを仕立てたいときに選ばれることが多い服地柄。
このワッフルクロスは、その織り柄は蜂の巣のように見える
ことに由来する「蜂巣織り(ハニーコーム・ハニカム)」や、
「ます織り」とその形が似ていることから同じものを意味する
織り柄デザインとして使われます。
ダブルフェイス
表と裏の両面とも使用することができるよう作られた布地のことで、
テーラードではジャケットを背抜き仕立てや広見返しで仕立てた際に、
見える表地とは違った色柄を楽しんだり、胸ポケットや腰ポケット、
上衿などを表裏別生地で仕立てるクレージージャケットを
仕立てるときに使われる織物。
2枚の生地の裏側を部分的に縫い止める「二重織」や、
ポリウレタン樹脂などで貼り合わせる「ボンディング」という
方法によってつくられます。
2枚の生地を使用して作られるために、生地厚があり、
防寒性に優れていることから、オーバーコートなどの
アイテムに最適な厚地素材。
このダブルフェイスは、ツーフェイス、ダブルクロス、
リバーシブルファブリックとも呼ばれることがあります。
ダブル巾
織物に使われる巾の規格で、主にスーツやジャケット、
パンツを仕立てる際に使われるウールに使われている
もので、およそ60~62インチ(152.4cm~
157.5cm)の織り巾のこと。
これに対し、シングル巾は1ヤードを基準とした、
91.4cmの織り巾でシルクやコットンなどに
多く使われています。
このダブル巾は、標準サイズの人の上下スーツ、
または、ベスト付きの3ピーススーツ、
パンツを2本とした2パンツスーツを仕立てるのに、
ちょうど良い生地巾となっており、生地巾は、
要尺計算をする際の大事な目安。
生地巾が狭いと同じスーツを仕立てる際にも、
長い生地が必要になり、広いと少なくて足ります。